地域へ提言 釜石市国際外語大学校の1期生 卒業研究を発表 留学生は日本語でスピーチ


2026/03/03
釜石新聞NewS #文化・教育

釜石市国際外語大学校の卒業研究発表会で学びの成果を披露する学生たち

釜石市国際外語大学校の卒業研究発表会で学びの成果を披露する学生たち

 
 3月に卒業を控えた釜石市国際外語大学校(同市鈴子町、及川源太学長)の1期生は2月26日、同市大町の市民ホールTETTOで学びの成果を見せる研究発表会に臨んだ。外語観光学科の日本人学生は地域課題の解決に向けた研究、実践の過程を紹介。日本語学科の留学生は日々の暮らしで感じたこと、気づいたことなどを日本語で伝えた。
 
 2024年4月に開校。英語や観光マネジメントなどを学び地域で活躍する人材を育てる外語観光学科(2年制)と、留学生を対象にした日本語学科(1年半と2年制)があり、1期生計18人が今年卒業を迎える。
 
「魚のまち釜石」をPRする取り組みを発表する学生

「魚のまち釜石」をPRする取り組みを発表する学生

 
 外語観光学科の岩間ひなさん(21)は、同市のキャッチコピー「鉄と魚とラグビーのまち」の中で、まちの印象として「イメージが強くない」と感じた「魚のまち」をテーマに認知度を高め、魅力を発信するプロジェクトに取り組んだ。地元の若手漁師へのインタビュー記事や、コンブ養殖の加工作業の様子をまとめた動画を「インスタグラム」などのSNS(交流サイト)上でアピール。漁師自らがイベント出店する際に使うメニュー紹介の「POP(ポップ)」、のぼりの作成も手がけた。
 
 POP作りでは伝えたいことをシンプルに、瞬間的に捉えてもらえるよう言語化するのに苦労したが、「水産業を盛り上げる一つの形を残すことができた。新しいことへの挑戦で、大きな学びになった」と充実感をにじませた。一方で、水産業界では従事者の高齢化などでSNS運用に不慣れだったり、なり手不足で人員の確保が難しいことを改めて認識。情報発信は「ハードルが高い」と実感を込めた。
 
聴講した人からの質問に答えたりして成果を示した

聴講した人からの質問に答えたりして成果を示した

 
 そのうえで、若者の新規就業につながるきっかけとして、▽学生と企業の連携による商品開発ワークショップ▽漁業インターン―などの実施を提言。期待される効果として「漁業への理解が広がり、人手不足を補える。外部から人を集めることで、消費促進にもなる」と指摘した。
 
 そのほか、「多文化共生」と「防災・減災」を絡めたアンケート調査から見えた日本人市民の意識や年代別の認知度の違いをまとめた発表もあった。
 
日本語の習熟度を披露するネパールからの留学生たち

日本語の習熟度を披露するネパールからの留学生たち

 
 日本語学科のネパール人留学生は4グループに分かれて、母国との文化の違い、日本の暮らし、学生生活、市民との交流について、1年半学んできた日本語を駆使してスピーチ。ブダトキ ルパさん(20)はバスや列車など交通システムが時間通りに運行されていることや、利用の仕方を運転手らが親切に教えてくれたエピソードを披露し、「ルールがあるから安心で、きれいで、住みやすいまちになっている」と、はきはきとした口調で語った。
 
 カトワル スザンさん(19)は「はじめは言葉が分からず本当に困った。戸惑うこともあったが、違いを知ることは大切。交流すると、新しい発見があり、成長につながる。おじぎ、礼儀、静かに電車に乗る、ごみを分けること、多くを知った。責任感、思いやりの気持ちも学んだ。大切にしていきたい」と話し、笑顔を見せた。
 
日本人の友達ができた。同年代ではないけど」と笑いを誘ったり

「日本人の友達ができた。同年代ではないけど」と笑いを誘ったり

 
忘れ物が手元に戻ったエピソードやアルバイト先での経験をスピーチ

忘れ物が手元に戻ったエピソードやアルバイト先での経験をスピーチ

 
 学校の授業について「とても分かりやすく楽しい。読む、書く、聞く、話す…はじめはできなかったけど、日本語で気持ちを伝えられるようなった」と喜びを素直に言葉にした。「釜石よいさ」など地域のイベントに参加した楽しさ、日本人の悪いところ(働きすぎなど)を指摘するスピーチも。アルバイト先でミスした時に先輩が手助けしてくれたと感謝する学生は、「いつか誰かを助けられる人になりたい」と目標を明かした。
 
「ありがとう」。日本語、英語、母国語で感謝の気持ちを伝えた

「ありがとう」。日本語、英語、母国語で感謝の気持ちを伝えた

 
学生たちが撮った街の風景や日常を切り取った写真の展示

学生たちが撮った街の風景や日常を切り取った写真の展示

 
 卒業研究の協力者や助言者、学生のアルバイト先の関係者、地域住民らが発表に耳を傾けた。会を閉じた後は、学生のもとに駆け寄り交流タイム。学生たちがスマートフォンで撮った「釜石の日常」を紹介する写真展示もあり、鑑賞しながら会話を弾ませていた。

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