釜石SW ホーム初戦の初勝利に歓喜 日野に36-14 激しいディフェンスで失点防ぐ


2025/12/24
釜石新聞NewS #スポーツ

今季ホーム初戦で日野レッドドルフィンズに勝利し、笑顔を輝かせる日本製鉄釜石SWの選手、スタッフら=21日

今季ホーム初戦で日野レッドドルフィンズに勝利し、笑顔を輝かせる日本製鉄釜石SWの選手、スタッフら=21日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は21日、今季2戦目を釜石鵜住居復興スタジアムで戦い、日野レッドドルフィンズ(昨季2部5位)に36-14(前半19-0)で快勝した。5季目を迎えるリーグワンで、釜石SWがホーム初戦を勝利で飾るのは初めて。今季就任したトウタイ・ケフヘッドコーチ(HC)も「結果には大変満足している」と喜びを表し、選手らの“仕事ぶり”をたたえた。2試合を終え1勝1敗、勝ち点5で現在4位。次節は27日、福島県いわき市のハワイアンズスタジアムいわきで、九州電力キューデンヴォルテクス(昨季2部6位)と対戦する。
 
 気温22度超えの異例の暖かさの中で始まった試合。序盤からテンポのいい攻撃を見せる釜石は前半6分、ハーフウェイライン付近でボールを受けたフランカー、アンガス・フレッチャーが絶妙なステップとハンドオフで相手をかわし中央に独走トライ。SOミッチェル・ハントがきっちりゴールを決め先制した(7-0)。その後、スクラムで反則を取られるなどし、自陣での防御の時間が続いたが、攻撃の好機は逃さなかった。22分、敵陣22メートルライン内でのラインアウトから右に展開。フレッチャーの背面パスがバウンドし、後方でフォローしていたナンバー8サム・ヘンウッドに渡ると、勢いそのままにトライに持ち込んだ(ゴール成功、14-0)。
 
前半6分、センターを破って独走し先制トライを決めたフランカー、アンガス・フレッチャー

前半6分、センターを破って独走し先制トライを決めたフランカー、アンガス・フレッチャー

 
この日も正確なゴールキックでチームに貢献したSOミッチェル・ハント

この日も正確なゴールキックでチームに貢献したSOミッチェル・ハント

 
 この日の釜石はターンオーバーも光った。前半30分すぎ、釜石のキックボールをキャッチした日野の選手をWTB小野航大が背後から倒し、ヘンウッドがボールを奪取。SH南篤志から3人がつないだパスを受けたフルバック落和史は、右サイドのディフェンスの隙を狙いキックパスでボールを転がし、最後はWTB阿部竜二が拾って余裕のトライ。ハントのキックは惜しくもゴールポストに跳ね返されるが19-0。前半終了間際に自陣深く攻め込まれる場面もあったが、耐えて守り切った。
 
前半36分、フルバック落和史(後)が蹴ったボールをWTB阿部竜二(前)が追いかけて拾い上げ、トライにつなげた

前半36分、フルバック落和史(後)が蹴ったボールをWTB阿部竜二(前)が追いかけて拾い上げ、トライにつなげた

 
前半、自陣に攻め込まれながらも気迫のディフェンスで抑え、ゴールを守った釜石SW

前半、自陣に攻め込まれながらも気迫のディフェンスで抑え、ゴールを守った釜石SW

 
 後半は日野が最初のトライを決めた。釜石は相手ディフェンスラインが整う前にボールを出し、一気に展開する形を継続。18分には相手の反則からPGを選択し22-7。直後の19分には、ハーフウェイライン付近でCTBヘルダス・ファンデルヴォルトがインターセプト。そのまま、右サイドを突破し、チーム4本目のトライを決めた(ゴール成功、29-7)。後半もスクラムで苦戦する場面が多々あったものの、33分には敵陣5メートルラインでのラインアウトからモールを形成しインゴールへ。後半途中出場のフランカー髙橋泰地がねじ込み、ハントは難しい角度のゴールキックを決めて観客を沸かせた。試合終了間際に1トライを返されたが、36-14で待望のホーム勝利を成し遂げた。
 
後半途中出場のフランカー髙橋泰地(写真右下)がモールの中でチーム5本目のトライを決めた(後半33分)

後半途中出場のフランカー髙橋泰地(写真右下)がモールの中でチーム5本目のトライを決めた(後半33分)

 
最も活躍した選手に贈られる「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」は釜石SWのフルバック落和史選手が受賞

最も活躍した選手に贈られる「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」は釜石SWのフルバック落和史選手が受賞

 
 プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、前半のトライアシストのキックや前半終了間際の相手の攻撃を抑えたタックルなど、攻守の活躍が光った釜石のフルバック落和史選手に贈られた。
 
 試合後の会見。ケフHCは「セットプレーが良く、いいゲインラインを切れたことで、勢いが生まれていった。この一勝は自信につながる」とチームの今後に期待。課題は「ラインアウトとスクラム」とし、さらなる修正を誓った。フランカー河野良太主将はスクラムの反則を取られるなどうまくいかない場面にも、「常に次の仕事をしようと声がけしていた。ミスを引きずらず、全員が切り替えてプレーできたところが連続失点を防げた要因」と勝利のポイントを明かした。主将としての初白星に「チームを勝利に導くことができ、ほっとしている」と表情を緩める場面も。27日の第3節に向け、ミスや反則が起こった原因を究明し、「次も勝てるように準備したい」と気を引き締めた。
 
チームを率いる河野良太主将。今季リーグ戦初勝利を仲間とともに喜び合った

チームを率いる河野良太主将。今季リーグ戦初勝利を仲間とともに喜び合った

 

国内通算キャリア50キャップ達成 チームの要 ナンバー8サム・ヘンウッド選手

 
国内通算50キャップを達成した釜石SWのサム・ヘンウッド選手。坂下功正総監督(右)から記念の盾が贈呈された

国内通算50キャップを達成した釜石SWのサム・ヘンウッド選手。坂下功正総監督(右)から記念の盾が贈呈された

 
 試合後のピッチで駆け寄った2歳の愛娘を抱き上げ、満面の笑みを広げた釜石SWのナンバー8サム・ヘンウッド選手(34)。この日の試合で、国内キャリア通算50キャップを達成し、自身のラグビー人生の節目を本拠地釜石での勝利で飾った。
 
 ニュージーランド出身で在日6年目。スーパーラグビーを経て、2019-20シーズンにNECグリーンロケッツ(当時トップリーグ)に入団し、20年1月の宗像サニックス戦が初出場。同年7月、釜石SWに移籍した。ボールキャリーとフィジカリティを武器に、昨季はディフェンス突破で2部トップ5に入る活躍を見せた。今季も開幕2試合連続でスタメン出場し、強力な突破力でチームをけん引。この日もパワーあふれるプレーで観客を沸かせた。
 
の日も活躍が光ったサム・ヘンウッド選手。前半22分のトライ

この日も活躍が光ったサム・ヘンウッド選手。前半22分のトライ

 
 「50キャップの記念すべき日に勝てたのはうれしいこと」とヘンウッド選手。チームとしてフォーカスしてきたディフェンスがうまく機能した要因として「自分たちの力を信じる、フィジカルに行こうというマインドセットのスイッチオンが大半の選手でできていたからだと思う」と、相手に立ち向かう気持ちの強さを強調。「今日のようなディフェンスができれば次からの試合も勝てる。うちのアタックは絶対、得点できるようにできているので」と自信をのぞかせた。
 
釜石SWホーム初戦には本県沿岸部の中学生以下の子どもたち先着100人を無料招待した

釜石SWホーム初戦には本県沿岸部の中学生以下の子どもたち先着100人を無料招待した

 
釜石高の生徒有志でつくる「夢団」メンバーは、今季もSWの試合会場となる釜石鵜住居復興スタジアムで東日本大震災の語り部活動を展開

釜石高の生徒有志でつくる「夢団」メンバーは、今季もSWの試合会場となる釜石鵜住居復興スタジアムで東日本大震災の語り部活動を展開

 
会場には本県沿岸市町村のご当地キャラクターが大集合。ハーフタイムには市内の園児らとラグビー体操を踊った

会場には本県沿岸市町村のご当地キャラクターが大集合。ハーフタイムには市内の園児らとラグビー体操を踊った

釜石新聞NewS

釜石新聞NewS

復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。

取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム


釜石のイベント情報

もっと見る

釜石のイチ押し商品

商品一覧へ

釜石の注目トピックス