言葉がつなぐ学びの場“釜国”!? 初の学園祭で魅力発信 釜石市国際外語大学校


2025/12/23
釜石新聞NewS #文化・教育

多言語じゃんけん大会で盛り上がる「釜国祭」

多言語じゃんけん大会で盛り上がる「釜国祭」

 
 釜石市国際外語大学校(及川源太学長)の第1回「釜国祭」は20日、同市鈴子町の同校で開かれた。開校2年目で、初の学園祭。外語観光学科の日本人学生と、日本語学科の留学生が協力し、アイデアを凝らした企画を繰り広げ、来校した地域住民らを楽しませた。
 
 同校は2024年4月に開校。日本人向けの外語観光学科(2年制)は英語や観光、ICT(情報通信技術)活用などを学び、外国人対象の日本語学科(1年半と2年制)では日常生活に必要な言葉が分かる程度の習熟を目指す。現在2学科に計60人が在籍。日本語学科ではネパールとミャンマーから留学生を受け入れている。
 
 “釜国”を知ってもらおうと開かれた学園祭のスローガンは「ことばがつなぐ 世界と地域とわたしたち」。日本人学生は、釜石のまち全体を学びの場として地域や人との交流で養う課題解決力、情報発信力などを生かした展示で学校の魅力を紹介した。留学生は民族衣装の試着体験やダンス披露などで自国の文化を伝え、磨いている日本語力を使って来校した人らと積極的にふれ合った。
 
外語観光学科が設けたフォトブースでは笑顔がいっぱい

外語観光学科が設けたフォトブースでは笑顔がいっぱい

 
日本語学科の留学生は民族衣装で伝統の踊りを披露した

日本語学科の留学生は民族衣装で伝統の踊りを披露した

 
 外語観光学科では、市内の観光スポットを題材にしたオリジナルすごろくで遊ぶ体験を提供。挑戦した人たちはサイコロを振り、「世界遺産の橋野鉄鉱山を見学しよう」「甲子柿を食べる」などが書かれたマスにコマを進めて、自分だけの“旅のしおり”をつくった。
 
釜石の観光スポットを巡ってツアーを作るすごろく遊び

釜石の観光スポットを巡ってツアーを作るすごろく遊び

 
 案内役となり体験を促した1年の成田彩華さん(19)は「人が来るか心配したが、たくさん来て、楽しんでもらっているよう。うれしい」と頬を緩めた。少人数のため、学年、学科を超えた連携で学園祭の準備をしてきたことから、仲間と晴れやかな表情を重ねた。学生生活は「常にやることがたくさんある。知らないことをスポンジのように吸収しているところ」と表現。友達という同級生の存在が「助けになっている」と話し、「自分にはできないと思うのではなく、諦めずやってみることが大事。迷ったときは頼ればいいから」と、結束力をアピールした。
 
 サリーを身にまとい、祝祭などで舞うダンスを見せたガレ アクリティさん(26)は、10月にネパールから来釜したばかり。軽快な音楽に合わせ「楽しい気持ち」を込めて踊っていたら、見つめる人たちから盛り上げるように手拍子がわき「とてもうれしかった」とはにかんだ。
 
民族舞踊やボディーアート体験などでネパールの文化を伝えた

民族舞踊やボディーアート体験などでネパールの文化を伝えた

 
 来校した人たちを笑顔でもてなしたネパール出身のバスネト ムスカンさん(21)は、1年半コースの第1期生。「来た頃は分からないことが多くて、(生活するのが)大変だった。アルバイト先の人とか釜石のみんなが教えてくれたから、気持ちよく過ごせている」と話し、「来てくれた人がうれしくなったらいい」と感謝の気持ちを込めた。春には首都圏のビジネス系の専門学校へ進学。釜国から羽ばたき、「夢の実現」へ前進する。
 
 ミャンマーの留学生は、発酵させた茶葉を使ったサラダ「ラペッソー」などの試食も用意し、“心の味(ふるさとの味)”を紹介した。「たくさんの人としゃべるのが楽しい」と活発に動き回っていたシュエー ウェーヤン トゥッさん(20)は、今年4月から釜国に通う。コンビニや菓子製造工場でアルバイトしながら忙しい日々を過ごしているというが、笑顔は絶やさない。ビジネスや自動車整備など学びたいことがいくつかあるようで、「将来、日本で働きたい。だから、言葉を覚えることを頑張る」と向上心を見せた。
 
ミャンマーの特色ある伝統を試食やメーク体験などで紹介した

ミャンマーの特色ある伝統を試食やメーク体験などで紹介した

 
 校内を巡るスタンプラリーもあり、来校者はスタンプを集めながら学生らと交流。ネパール人留学生と一緒に働いていたという市内の佐々木栄子さん(50代)は「明るくて、いろんなことに興味を持っている子たち」との再会を喜びつつ、さまざまな企画を体験し「文化の違いを知ることができて面白かった」と関心を深めた。地元にできた専門学校を歓迎していて、「長く続いてほしい」と期待。地域内外に広く知ってもらうため、「宣伝を考えて、どんどん発信して」と望んだ。
 
スタンプをもらう時は絶好の“おしゃべりタイム”

スタンプをもらう時は絶好の“おしゃべりタイム”

 
 この日はオープンキャンパスも同時開催。進学先にと考えている高校生や保護者らが参加し、外語観光学科の学生が説明する場面もあった。2年の岩間ひなさん(20)は「学校内外でいろんな活動ができるのが魅力」と強調。やりたいことを探せる場所でもあり、「将来のことを悩んでいる人におすすめしたい。人と関わって経験値を高め、人生に役立つ学びがある。『釜国』は楽しい」とPRした。
 
 同校によると、約200人が来場。課外学習や特別授業で関わった人、留学生らのアルバイトの受け入れ先、国際交流に関心のある人のほか、地域イベントとして楽しむ近隣住民や家族連れの姿もあった。「予想を上回った」と関係者。学生や留学生にとっても学校の魅力発信、語学力を高める貴重な機会になったようだ。

 

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