秋の全国交通安全運動スタート 県内死亡事故多発注意報発令中 法令順守、マナー向上を


2025/09/22
釜石新聞NewS #防災・安全

交通安全を呼びかける釜石市国際外語大学校の学生=19日、マイヤ釜石店前

交通安全を呼びかける釜石市国際外語大学校の学生=19日、マイヤ釜石店前

 
 秋の全国交通安全運動が21日から始まった。本県では8月から死亡事故が多発し、県警は「交通死亡事故多発注意報」を発令中。ドライバー、歩行者ともにより一層の事故防止意識が求められる。運動スタートを前に釜石市では19日、交通安全関係団体や警察などによる街頭指導が行われた。30日までの運動期間中、啓発活動が続けられる。
 
 19日は街頭活動に先立ち、鈴子町で出発式が行われ、関係者122人が集まった。釜石市交通安全対策協議会(会長・小野共市長)の菊地敏文副会長(県自家用自動車協会釜石支部長)が会長のあいさつを代読。「県内では8月7日から9月1日までの26日間で、11人が交通事故で亡くなっている。釜石市では本日までの758日間、死亡事故は発生していないが、1千人あたりの飲酒運転検挙人数が県内ワースト3と、いつ死亡事故が発生してもおかしくない状況」と説明し、交通事故撲滅に向けた活動への協力を呼びかけた。
 
 日本製鉄釜石交通安全推進会(高瀬賢二会長)が住民の交通安全意識向上、事故の未然防止を願い、同協議会に交通安全物品を贈呈。外舘康治副会長が目録を読み上げ、現物が紹介された。寄贈されたのは▽横断幕▽のぼり旗3種(各100本)▽横断旗200本。同推進会は同社と構内企業など関係各社の従業員らで組織され、会予算から費用を拠出した。横断幕は鈴子町内の十字路交差点に掲示、のぼり旗と横断旗は市内で活用される。
 
「秋の全国交通安全運動」街頭啓発活動の出発式=鈴子町

「秋の全国交通安全運動」街頭啓発活動の出発式=鈴子町

 
日本製鉄釜石交通安全推進会から市交通安全対策協議会に横断幕、のぼり旗、横断旗が寄贈された

日本製鉄釜石交通安全推進会から市交通安全対策協議会に横断幕、のぼり旗、横断旗が寄贈された

 
交通安全宣言を行う釜石市国際外語大学校日本語学科2年の(左から)カトワル スザンさん、ティアヤット ミナさん、シャヒ ドゥルガーさん

交通安全宣言を行う釜石市国際外語大学校日本語学科2年の(左から)カトワル スザンさん、ティアヤット ミナさん、シャヒ ドゥルガーさん

 
 この日の活動には、釜石市国際外語大学校日本語学科の2年生16人も参加した。代表の3人が交通安全宣言。交通ルールの順守や自転車のヘルメット着用など3点について宣誓し、「安全を第一に考えた行動ができるよう、お互いに声をかけ合い、支え合っていく」と決意を示した。同校の外国人学生は全員が自転車通学。入学時に警察の交通安全講習を受け、教職員らによる日常的な指導も行われている。
 
 参加者は銀行やスーパーなど4施設の入り口で、運動のチラシや夜光反射材などの啓発物品を配布。国道283号沿いではハンドポップやのぼり旗を掲げ、ドライバーに安全運転を呼びかけた。本運動のスローガンは「反射材 わたしとかがやく 夜の道」。これから冬にかけて日没が早まり、視野がとりづらい状況となるため、歩行者の反射材着用、車ライトの早め点灯、自転車利用時のヘルメット着用―など事故防止への意識的な行動を呼びかける。
 
ネパール出身学生が日本語で「交通安全お願いします!」と声をかけながら啓発物品を配布した

ネパール出身学生が日本語で「交通安全お願いします!」と声をかけながら啓発物品を配布した

 
国道283号沿道ではハンドポップを使ってドライバーに安全運転を促した

国道283号沿道ではハンドポップを使ってドライバーに安全運転を促した

 
日本製鉄釜石交通安全推進会寄贈の「のぼり旗」もさっそく活躍!

日本製鉄釜石交通安全推進会寄贈の「のぼり旗」もさっそく活躍!

 
 釜石警察署によると、本年1月から8月末までの釜石市の交通事故発生件数は人身事故が6件(負傷者8人、前年同期比4件減)、物損事故は283件(同比33件減)。物損事故は駐車場の壁や縁石にぶつかるといった単独事故やシカとの衝突事故が多いという。
 

“かわいい”反射材で事故防止を! 小佐野交番員が今年も手作り デザイン5種「どれつける?」

 
「今年も作りました!」 手作りの反射材キーホルダーと地域安全血圧手帳をPRする小佐野交番の矢神海輝巡査

「今年も作りました!」 手作りの反射材キーホルダーと地域安全血圧手帳をPRする小佐野交番の矢神海輝巡査

 
 釜石警察署小佐野交番(川野正行所長)は秋の全国交通安全運動に合わせ、オリジナルの「反射材キーホルダー」を手作り。希望する住民に配布している。小佐野交番連絡協議会(多田慶三会長、32人)が協力する昨年に続く取り組みで、今年はデザインを5種に増やすなどバージョンアップ。「楽しくつけて事故防止を!」と幅広い世代の活用を呼びかける。
 
 反射材キーホルダーは同交番勤務の署員4人で作成。市販の反射テープに警察庁の広報用キャラクターなどをプリントした絵柄を貼り付け、ラミネートフィルムで加工している。今年は「ここにいる!いつでもピカッと反射材」「暗い道 命を守る反射材」などの交通安全標語も加え、署員それぞれの独創性あふれるデザインに仕上がっている。現在までに約150個を作成。最終的に200個を目指す。
 
楽しいデザインが目を引く反射材キーホルダー。小佐野交番で配布する<

楽しいデザインが目を引く反射材キーホルダー。小佐野交番で配布する

 
 同交番勤務2年目の矢神海輝巡査(21)は「ユーモアも交え、親しみを持ってつけてもらえるよう工夫した」と太鼓判。反射材の視覚効果は大きい。「少しの光でも“ピカッ”とすれば、ドライバーも『人がいるのでは』と注視し、事故防止につながっていく」と話す。
 
 同交番で配布するほか、管内の公民館や集会所で開催される「百歳体操」や「お茶っこの会」の参加者にも配る予定。同交番では、交通安全や防犯に関わる標語が記された地域安全血圧手帳も作成していて、2025年度版もお目見え。反射材キーホルダーと合わせ、自分の身を守る一助としてほしいと願う。両グッズについての問い合わせは小佐野交番(電話0193・23・5149)へ。
 

高齢者ら 最新の「サポートカー」を体験 認知機能診断で安全意識向上も

 
釜石警察署で開かれたサポカー体験会=19日

釜石警察署で開かれたサポカー体験会=19日

 
 釜石警察署(松本一夫署長)は19日、秋の全国交通安全運動の取り組みの一環として、サポートカー(通称サポカー)体験会を同署で開いた。高齢運転者が交通事故の当事者となるケースが増える中、事故の危険性を再認識し、事故防止への意識を高めてもらおうと開催され、約40人が参加した。
 
 スバル東北岩手営業部釜石松倉店が協力。最先端の運転支援システムを搭載した新型「フォレスター」(4月発売)を持ち込み、自動でブレーキがかかる機能を体感してもらった。搭載の義務化が進む自動ブレーキは、カメラやレーダーが前方の車や歩行者を検知し、衝突の危険がある場合に音やランプでブレーキ操作を警告。操作がない場合に自動でブレーキを作動させ、衝突回避や被害軽減を図るもの。体験会では前方に立てたマットを先行車に見立てて時速6キロで走行。ドライバーがブレーキ操作をせずに進み、マットとの衝突を避ける状況を、助手席や後部座席に乗って体験した。体験者は自動でブレーキがかかり、衝突を回避する機能に感心しつつ、「6キロでもけっこうな衝撃」「後部座席もシートベルトは必須」などと話し、ドライバーが早めに危険を察知し、適切なブレーキ操作をする大切さを実感していた。
 
自動でブレーキがかかる機能を体験し、驚きの声を上げる参加者。衝突の危険を検知すると音やランプで警告する(写真左上)

自動でブレーキがかかる機能を体験し、驚きの声を上げる参加者。衝突の危険を検知すると音やランプで警告する(写真左上)

 
先行車に見立てたマットの約1メートル手前で止まり、衝突を回避

先行車に見立てたマットの約1メートル手前で止まり、衝突を回避

 
 甲子町の78歳男性は「いざという時に身を守る助けにはなるので、安心して乗れるのかな。運転サポートの面では有効なんだろう」と感想。それでも事故防止は「スピードを出し過ぎず、車間距離を十分に取って走ることが基本。後期高齢者なのでその辺は慎重に」と気を引き締めた。
 
 同車両には、衝突時に歩行者や自転車利用者を保護するためにフロントガラス外側に展開するエアバッグ、事故発生や体調不良などの緊急時に同社のオペレーターとつながるSOSボタンなどの装備もあり、参加者は最新システムに驚きながら説明に聞き入った。
 
写真上:認知機能の簡易診断を受ける参加者 同下:頭と体を同時に動かす「コグニサイズ」に挑戦

写真上:認知機能の簡易診断を受ける参加者 同下:頭と体を同時に動かす「コグニサイズ」に挑戦

 
 この他、損害保険ジャパン岩手支店の協力で、運転に必要な認知機能の簡易診断、同機能を維持・向上させるのに有効な頭と体の同時運動「コグニサイズ」の体験も行われた。唐丹町の77歳女性は「自分ではまだ運転は大丈夫と思っているが、年とともに認知機能の衰えは避けられない。十分な注意を怠らずに運転したい」と話した。

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