海上自衛隊多用途支援艦「すおう」 釜石港で一般公開 物資輸送・災害派遣で活躍
多用途支援艦「すおう」の艦内を見学する家族連れ=5日
海上自衛隊の多用途支援艦「すおう」(980トン、乗組員約45人)が釜石港に入港し、5、6の両日、艦内が一般公開された。釜石市が港湾利用の促進などを狙い、18年ぶりに自衛隊の艦艇を招致。「めったに乗れないから」と多くの市民らが足を運び、乗員らから各種装備の説明を受け、自衛隊の活動に理解を深めた。
すおうは全長65メートル、最大幅12メートル。青森県むつ市の大湊基地を母港とする。主な任務は、物資輸送や航行不能となった護衛艦のえい航、艦艇が行う訓練の支援など。災害派遣として、2018年に発生した北海道胆振東部地震では燃料輸送を担ったほか、19年の台風19号の現場では搭載する真水タンクから陸上自衛隊の給水車に水を補給するなど力を発揮している。
釜石港公共ふ頭に着岸した「すおう」=4日
4日に入港。釜石港公共ふ頭で歓迎式があり、小野共市長は東日本大震災時の自衛隊による救援、復旧活動に謝意を示し、「湾口防波堤が復旧し釜石港の静穏度が高まった。災害時の物資輸送や被災者支援の拠点、補給や荒天時の避難港として利活用の足がかりに」と期待を述べた。
かまいしこども園の園児約30人が伝統芸能の虎舞を披露。かわいらしい出迎えを受け、角田精一郎艦長(3等海佐)は「艦艇公開を通じてわれわれの任務や乗員の生活を見てもらい、海上自衛隊の活動を理解してほしい」と望んだ。
「すおう」の入港を歓迎し子どもたちが虎舞を披露した
白い制服姿でキリッと敬礼する「すおう」の乗員ら
5日は市民ら約870人が見学。船内では操舵室が公開され、艦長席に座ったりする体験もできた。角田艦長は「小さい船ながら機動性がある」と強調。乗員が航海計器について説明したり、展示された災害派遣のパネルで行動実績を紹介した。甲板上では搭載されたクレーン装置やえい航装置などを間近で見ることができ、来場者は興味津々の様子だった。
「すおう」を一目見ようと多くの人が列を作った=5日
前甲板より低くなっている後部甲板の広いスペースは災害派遣や物資輸送支援時には救急車両や大型コンテナなどを積み込むことができる
艦内では搭載装備の見学や乗員らとの触れ合いを楽しむ
搭載される大型の双眼鏡に興味を示す見学者
海自の制服を試着して記念撮影する家族連れの姿も。市内の小学4年の佐々木暁(あき)君(9)、紘ちゃん(5)兄弟は「船が大きくてすごい。かっこいい。急な階段の上り下りが楽しかった」と笑顔を見せた。
「すおう」をバックに記念にパチリ。撮影を楽しむ来場者
陸上自衛隊の車両も展示され、子どもも大人も興味津々
公共ふ頭には陸上自衛隊岩手駐屯地(滝沢市)の協力で、93式近距離地対空誘導弾や82式指揮通信車などが展示され、乗車体験もできた。
6日も860人余りが艦内を見学。一目見ようと公共ふ頭に足を運んだのは2日間で計約1900人だったという。市では、艦艇が入港した実績を作り、有事の際の円滑な対応につなげたい考えだ。

釜石新聞NewS
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