空に描く希望のメッセージ ガザへ届け「忘れていないよ」 釜石で続くたこ揚げ
ガザの平和を願って釜石で行われたたこ揚げ
戦闘や封鎖で長期にわたり厳しい生活を強いられるパレスチナ自治区ガザの平和を願うたこ揚げイベントが16日、釜石市鵜住居町の「うのすまい・トモス」であった。東日本大震災を機に、互いを励まそうと続いている活動で、参加者は空に舞うたこを見上げ、穏やかな日常へ祈りを込めた。
空高く揚がるたこがガザと釜石の思いをつなぐ
市内外の有志でつくる「ガザ・ジャパン希望の凧(たこ)揚げ交流会実行委員会」が主催。子どもから大人まで約20人が参加した。「平和」「正義」「忘れない」。思い思いにメッセージをつづり、好きなキャラクターなど絵を描いたり、桜の花びらをイメージした折り紙を貼ったりして、たこを作った。
たこ作りに取り組む参加者。それぞれ思いをつづった
さまざまな願いを込め、たこを掲げる参加者
「不屈の意志で復興を」と願う中澤大河さん(釜石高2年)は、「ネバーギブアップ」を意味するアラビア語を調べて、たこに書き込んだ。町内に住んでいて、震災の津波で自宅は流失。当時は3歳だったが、家族とともに逃げた記憶が少しだけ残っているという。今回、「応援してもらった恩返し」と参加。戦禍、自然災害と原因は異なるが、「暮らしの復興」という点では同じだと感じていて、「ゼロからのスタート。立ち上がってもらえたら」と思いを寄せた。
ガザへの思いを込め、たこを揚げる参加者たち
参加者は空高く揚がるたこに思いを託した
両地域の交流は2012年3月、震災復興を願ってガザの子どもたちがたこを飛ばしたのが始まり。これに応える形で、釜石でも15年からガザに向けたたこ揚げを続けている。
実行委メンバーで、同市出身の野呂文香さん、高橋奈那さん(ともに23)は、高校時代からこの活動に関わってきた。「震災からの復興を願ってくれたガザに、たこ揚げを通じて何かを伝えられたら」。2人とも思いは変わらず、参加してくれた人たちの姿をうれしそうに見つめた。
参加した親子を見つめる野呂文香さん(右)。活動継続へ思いを「繋」
「ガザのことを知るきっかけに」と企画されたイベントの参加者
社会人として市内で働く野呂さんは今回、運営の中心を担った。これまで引っ張ってきたメンバー佐藤直美さん(51)=仙台市=から引き継ぎ、継続への気持ちを新たにする。現地の情勢は今なお緊迫しており、届けたい共通の思いを佐藤さんと確認。「忘れていないよ」。その気持ちをたこに込め、ガザにつながる空に高く揚げ続ける。
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