釜石・浜千鳥が評価員特別賞 東北清酒鑑評会、純米酒の部 吟醸酒の部も優等賞


2024/11/14
釜石新聞NewS #産業・経済

東北清酒鑑評会で評価員特別賞を獲得した浜千鳥の社員ら

東北清酒鑑評会で評価員特別賞を獲得した浜千鳥の社員ら

 
 仙台国税局による東北清酒鑑評会の結果が発表され、純米酒の部で釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)が最優秀賞に次ぐ「評価員特別賞」に選ばれた。吟醸酒の部でも優等賞を獲得。地域性を大事にした酒造りを続けており、新里社長は「岩手県の味わいが認められた」と喜ぶ。日本の「伝統的酒造り」が近く、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しで、「文化的な面で味わいも深めて楽しんでもらえたら」と期待を膨らませる。
 
 同鑑評会は東北6県で造られた日本酒の品質を評価する。今年は清酒製造場147場(県内は15場)が計274点(同29点)を出品。部門別では吟醸酒が122場136点(同10場10点)、純米酒は122場138点(同14場19点)だった。研究機関の職員や製造場の技術者、外国人の専門家らが10月上旬、香りや味などを総合的に審査した。
 
 その結果、優等賞に吟醸で47場52点、純米で43場46点を選び、その中から、最も評価が高かったものを最優秀賞、次点の2点を評価員特別賞とした。県内からは両部門で9場が選ばれ、浜千鳥を含む4場がダブル受賞。純米の評価員特別賞には浜千鳥とともに、わしの尾(八幡平市)も上位入賞を果たした。
 
 表彰式は11月7日にあり、浜千鳥の本社を訪れた仙台国税局課税第二部の田村英好部長が表彰状を伝達。新里社長、奥村康太郎杜氏(とうじ)・製造部長らが受け取り、社員らと喜びを分かち合った。インバウンド消費や輸出促進に役立ててもらうため、英語の賞状も授与された。
 
h評価員特別賞の表彰状を受け取る新里進社長(中央)ら

評価員特別賞の表彰状を受け取る新里進社長(中央)ら

 
吟醸酒の部の賞状は奥村康太郎杜氏(中央)らが受け取った

吟醸酒の部の賞状は奥村康太郎杜氏(中央)らが受け取った

 
 評価員特別賞を受けた「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」は、本県最上級のオリジナル酒米「結の香」を原料に、岩手オリジナル酵母「ジョバンニの調べ」で醸造。軽やかに広がるフルーティーな香り、甘みと酸味の調和感、余韻の心地よさなどが評価された。吟醸の部優等賞の「浜千鳥 大吟醸」は酒米の王「山田錦」が原料。酵母は同じくジョバンニを使う。
 
 同社のダブル受賞は今年で5年連続7回目。全国トップクラスの技術を持つ杜氏や蔵人がひしめく東北鑑評会での入賞は「難しい」との声もある中、2部門での連続受賞に奥村杜氏は素直にうれしさを見せる。「全国に誇れる素材を生かし、浜千鳥らしい味をこれからも。品質も高めていく」。次の酒造りがすでに始まっているといい、「米、酵母、釜石の水…素材本来の味、特徴を見いだしたい」と眼光を鋭くする。
 
田村英好部長に代表銘柄「浜千鳥」を紹介する新里社長(右)

田村英好部長に代表銘柄「浜千鳥」を紹介する新里社長(右)

 
 新里社長は「ありがとう。これまで頑張ってきた成果」と社員への感謝を口にする。冬場に丹精込めて醸造し、夏場も細心の注意を払って管理、熟成させる伝統的な酒造りは変わらない。同じ材料で風合いを守りつつ品質を高めていく姿勢もしかり。「継続性を大切に」と望む中、無形遺産登録への流れを「日本酒の良さを知ってもらう好機」と捉える。「浜千鳥、そして岩手の清酒をどうぞ」。笑顔を添えてアピールした。

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