復興へ躍動 釜石よいさ〜復活3年目、市民に活力 元気発信、市内外から34団体 1800人参加
復活から3年目の釜石よいさ。衣装の浴衣も一新したよいさ小町が夏の祭りを彩る
第27回釜石よいさ(同実行委員会主催)は8日、釜石市大町から只越町の目抜き通りを特設会場に開かれた。市内外から34団体、約1800人が参加。東日本大震災による休止を経て復活し3年目の今年は、参加団体数が震災前に近い規模となり、釜石を愛する人たちの躍動の舞が復興途上のまちに大きな活力を与えた。
市内外から約1800人が参加した釜石よいさ。目抜き通りの沿道では「よいさ!」の掛け声に合わせ、大勢の観衆が手拍子で盛り上げた
餅まきなどのオープニングイベントに続き、恒例の子供よいさからスタート。甲東、かまいしの両こども園、正福寺幼稚園、上中島保育所の園児が元気いっぱいの掛け声と踊りで観客を楽しませた。
子供よいさで元気に跳びはねる初参加の上中島保育所
衣装をリニューアルしたお囃子(はやし)隊とよいさ小町は、お披露目を兼ねて「前囃子」を披露。よいさの第一部が幕を開けた。そろいの浴衣やはんてん、Tシャツなどに身を包んだ各団体は、横断幕や手作りの山車、独自にアレンジした踊りなどで存在感をアピールした。
箱崎半島部のかさ上げや情報交流センター建設など復興工事を手がける共同企業体グループは2年連続の参加。12社から170人が集い踊りの輪を彩った。昨年の2倍以上の大所帯を率いた伊崎裕滋さん(60)=戸田建設東北支店釜石地区総合所長=は「(昨年の)踊り切った充実感と感動が忘れられない。今年のメンバーも力をもらい、盆明けの仕事を頑張れる気がする」と、よいさパワーを実感した。
かさ上げなど復興工事に携わる企業グループも意気盛ん
釜石○○(まるまる)会議で発足した祭り支援活動チーム「おまつり男塾」は、個人でも参加しやすいよう本番まで4回の練習会を実施。当日は飛び入りも促し、誰でも気軽に踊れるよいさを印象づけた。東洋平代表(36)は「釜石との関わりを望む首都圏在住者らの受け皿にもなった。今回が祭り活性化活動の第一歩。地域のニーズを聞きながらマンパワー協力を進めたい」と抱負を語った。
法政大キャリアデザイン学部の梅崎修教授(44)のゼミ生OBなどで結成したグループは、よいさへの参加は初めて。メンバーは2006年から研究調査やゼミ合宿、震災後のボランティア活動で釜石と関わってきた。梅崎教授は「コミュニティーの一体感が感じられた。釜石には法政出身者も多く長い付き合い。第二の地元のように感じている教え子も多い」とつながりに感謝した。
一部と二部の間には唐丹町の桜舞太鼓などが演奏を披露。よいさ小町は「釜石小唄」「スタコラ音頭」も踊った。佐藤加奈さん(22)、尾形春美さん(19)は共に市役所職員で、小町に初めて参加。真新しい衣装に身を包み、「気が引き締まるような感じ。常に笑顔で皆さんに楽しんでもらえるように頑張りたい」と踊りの列に加わった。
小学生から社会人が力を結集したお囃子隊は大小の太鼓や笛、かねの音を威勢良く響かせ踊り手たちを支えた。宮古市出身で釜石に勤務する自衛官、奥博行さん(48)は大太鼓を担当。「みんなでやる祭りの雰囲気が最高。被災したまちを祭りで盛り上げ、県外からも観光客を呼び込めれば」と三陸沿岸のにぎわい再生に期待感を示した。
この日は連日の猛暑も一段落。心配された雨も降らず、沿道には帰省、観光客を含め多くの観衆が詰めかけた。震災後初めて見に来たという鵜住居町の女性(75)は「若い人たちがこんなに集まってくれて頼もしい。まちの活性化になる」と喜んだ。
君ケ洞剛一実行委員長(37)は「本当の意味での夏の風物詩になりつつある」と3年目の変化を実感。この先続く完全復興までの道のりの中で、「一時的でも楽しい気持ちを共有するのは大事。年に一度のよいさが明日への力を生み、いろいろな絆を確かめ合う場になれば」と願った。
(復興釜石新聞 2015年8月12日発行 第410号より)
第27回釜石よいさ – YouTube
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