味わって!うにしゃぶ 釜石でお振る舞いイベント 「新名物にな~れ」期待込め 魚屋応援にも
海の恵みがたっぷり詰まった「うにしゃぶ」を味わう親子
釜石の新名物に-と期待される「うにしゃぶ」。ウニが香るスープで三陸の魚介を味わう料理だ。この海の“味力”たっぷりの逸品を知ってもらおうと、地域の魅力発信に取り組む若者がイベントを企画。16日、釜石市鈴子町の駅前橋上市場サン・フィッシュ釜石で市民や観光客らに無料で振る舞った。
うにしゃぶは、焼いたりペースト状にしたりして香りを引きたてたウニを加えた貝だしのスープを温め、白身魚や貝類など三陸の海の幸と野菜を湯通していただく。地元の観光地域づくり会社かまいしDMCが食品加工会社と協力して2020年に開発。その“うにスープ”はDMCが指定管理する魚河岸テラスで販売する。市内では一部の飲食店や宿泊施設で提供されるが、事前の予約が必要。市のふるさと納税返礼品として取り扱われているが、市民の目に触れる機会は多くない。
「名物にするには市民から。おいしさを知ってもらおう」と立ち上がったのが、市地域おこし協力隊として魚食普及活動に取り組む清原拓磨さん(26)と、観光地域づくりコーディネーターの横木寛裕さん(23)の2人。5月の大型連休中にもPRイベントを実施しスープを有料で提供したが、今回はDMCの厚意もあって“お振る舞い”という形でサービスした。
サン・フィッシュ釜石で開かれたお振る舞いイベント
市場内の飲食スペースが会場。テーブルにはスープが入った鍋、箸休めのレタス、締め用のご飯が用意された。そして、“しゃぶしゃぶ”する具材の刺し身などは市場内の店舗で調達。「地元の海産物をよく知る魚屋さんとの触れ合いも楽しむ」という仕組みにした。
「うにスープに合うのは?」。店員が具材選びをお手伝い
新鮮な刺し身を手に笑顔の参加者、企画した清原拓磨さん(右)
タコ、ホタテ、エビ、カンパチ、サーモン、エンガワ、ワカメ…。家族連れらが訪れ、スープに合いそうな魚介類をお好みで選んで鍋にサッとくぐらせ、口に運んだ。「うんま!」「ウニの香りがすごい」「濃厚」。スープのうまみが絡んだ味わいに箸が進み、締めの雑炊までしっかりと堪能した。
お好みの具材を濃厚「うにスープ」にくぐらせて味わう
魚介のうまみが加わったスープで雑炊も!最後までうまい
魚介が好きな山田光葉(みつよ)さん(7)は「おいしい。海の味がする」とうれしそうに頬張った。母親の春葉(はるよ)さん(40)は「ウニの香りがふわっと広がる。ぜいたく感があって映(ば)えるから、名物料理になると思う。食材の組み合わせとか特色のあるメニュー化、提供の仕方、見せ方を工夫したりするといいのでは」と期待を込めた。
今回のイベントでは、市場内の店舗を利用してもらうことで売り上げ増にもなり、事業者から歓迎の声が聞かれた。
“魚屋さん”との触れ合い促進もイベントの目的
新名物にと「うにしゃぶスープ」をPRする横木寛裕さん(右)
清原さんは「うにしゃぶを初めて食べる人が多かった印象。発信するという意味では達成できたと思う」と肩の力を抜いた。魚のさばき方教室と銘打つ食育活動(月1回)や海にまつわる事業者支援などに携わる中で、魚種の豊かさや鮮度の良さなどから「魚のまち釜石」の魅力を実感。魚を売る人たちの情報の多さにも驚き、「気楽に魚屋に行く仕掛けをつくりたい」と考えて形にした。
企画の発案者でうにしゃぶスープのおいしさを知る横木さんも、「これ、合いますよ」と訪れた人に説明しながら、おもてなし。「飲食店で提供が広がるにはまず客となる地元の人が知って、食べたいと思ってもらわないと。おいしいものは食べに行くし、買うし、人にも勧める」という考えは2人とも共通で、今後も企画を考え発信していく。
釜石新聞NewS
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