甲子川流域(釜石・松倉)で市民らごみ拾い 環境美化、海への流出防止へ意識共有


2023/05/02
釜石新聞NewS #地域

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甲子川沿いで行われた春のごみ拾い活動=4月

 
 春の花見、夏のアユ釣りなどで市内外から多くの人たちが足を運ぶ釜石市甲子町松倉の甲子川流域。地域が誇る豊かな自然環境を守ろうと4月23日、春恒例の「お花見クリーンアップ」と題した清掃活動が行われた。市民団体「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表)が主催。地元住民を中心に約100人が参加し、桜並木が連なる川沿いの市道や土手、河川敷のごみを拾い集めた。
 
 新型コロナウイルス感染防止策で取りやめていた開始前の一斉参集を4年ぶりに復活。参加者を前に加藤代表は、川から海に流れ出たごみが海洋環境に大きな影響を及ぼしていることを説明。「海ごみの80%は陸地由来。特に微細化したプラスチックごみを魚が食べてしまったり、海に漂うプラごみが紫外線を浴びて温室効果ガスを発生させたりと状況は深刻。今日の清掃は海を守るための活動でもある」と呼び掛けた。
 
参加者全員が集まっての開始前説明は久しぶり

参加者全員が集まっての開始前説明は久しぶり

 
 この後、参加者はごみ袋やトングを手に各所に散らばった。上流は釜石高裏、下流は県立釜石病院裏までを範囲とし、約1時間に渡って大小のごみを拾い集めた。飲料の空き容器(缶、瓶、ペットボトル)、たばこの吸い殻、金属やプラスチックの廃材などさまざまなごみを回収した。
 
集合場所から二手に分かれてごみ拾いに出発 

集合場所から二手に分かれてごみ拾いに出発

 
花が散り、新緑が芽吹く桜並木に季節の移ろいを感じながら作業

花が散り、新緑が芽吹く桜並木に季節の移ろいを感じながら作業

 
若い世代の親子も数多く参加。家族で環境保護への意識を高めた

若い世代の親子も数多く参加。家族で環境保護への意識を高めた

 
 今年は家族連れや高校生の参加も増えた。地元の釜石高からは生徒会と、防災活動などに取り組む生徒有志グループ「夢団」のメンバー計12人が協力。夢団の髙堰愛さん、佐々木友香さん(ともに3年)は「想像よりもごみが多い。特に瓶や缶など飲み物系」と現状に驚いた様子。「せっかくの桜の名所。下を見た時にごみが散乱していたら残念な気持ちになる。きれいになったらもっと人が来てくれるはず。こうした活動はとても大事」と意義を感じた。
 
活動に参加した釜石高の生徒ら。学校近くの環境美化に一役買った

活動に参加した釜石高の生徒ら。学校近くの環境美化に一役買った

 
 甲子町の柏舘夕奈さん(甲子小5年)は普段から家族で同所のごみ拾いをしているといい、つい1週間前にも桜の花を見ながら拾って歩いたばかり。「なかなか減らない」とポイ捨てなど心無い行為に心を痛め、「(自然を汚すと)将来の自分たちに影響が出る。ごみは自分で持ち帰るなど考えて生活してほしい」と切望。小学校では環境福祉委員を務めており、「学校でも呼び掛けていきたい」と意欲を見せた。弟結斗君(同2年)も環境を守る大切さを感じており、「こういう所にごみを捨てる人には腹が立つ。やめてほしい」と訴えた。
 
菜園用の支柱や防護ネット(写真右)、大型土のうなどに使われる袋片(同左)も回収された

菜園用の支柱や防護ネット(写真右)、大型土のうなどに使われる袋片(同左)も回収された

 
 地元住民でもある加藤代表は30年ほど前に同所のごみ拾いを自主的に始めた。当初は2人でリヤカーを引きながら回収したが、その量は重さでリヤカーを引けなくなるほどだった。2005年に同団体を立ち上げ後は市の事業とタイアップし、「ごみウオッチング」として環境保全啓発も含めた活動を展開。近年は桜の開花時期に合わせて「お花見クリーンアップ」と銘打って実施している。4年前からは環境省と日本財団が全国展開する「海ごみゼロウイーク」活動にも協賛する。大型ごみは一時期に比べだいぶ減ったが、安易に捨てたとみられるポイ捨てごみは後を絶たない。「清掃は多くの皆さんの協力で続けてこられた。ありがたい。こうした活動を目にすることで、少しでも捨てる人が少なくなれば」と願う。

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