新設のSMC釜石第5工場 4月から本格操業 雇用拡大、地域経済活性化に期待


2023/03/22
釜石新聞NewS #産業・経済

4月から本格操業を開始する「SMC釜石第5工場」=釜石市岩井町

4月から本格操業を開始する「SMC釜石第5工場」=釜石市岩井町

 
 空気圧制御機器製造で世界首位のSMC(髙田芳樹社長、本社・東京都千代田区)が国内生産拠点の一つ、釜石市に新工場を建設。4月から本格的に操業を開始する。同市の誘致企業として30年以上の実績がある同社釜石工場。今回の工場新設は国内外の需要増に対応し生産拡大を図るためのもので、同市では5番目の工場となる。順次雇用を増やし、2026年ごろまでに外国人を含む約600人の就労を目指す。
 
 釜石第5工場は第2工場に隣接する形で岩井町に建設。敷地面積は2万6317平方メートル。建物は鉄骨造り2階建てで、工場棟2棟に事務所と食堂を備える。延べ床面積は2万6970平方メートル。既存工場で手掛けてきた電磁弁部品、空気圧補助機器、管継手(かんつぎて)を製造する。
 
 新工場稼働に伴い、中途採用、パートを含む人員確保を進めている。特定技能外国人労働者の雇用も予定。釜石工場では現在、ベトナム、インドネシア、中国出身者ら約50人が就労しており、今後約200人にまで増員する計画。即戦力として期待される。
 
緑のインテリアで彩られた2階の事務所スペース

緑のインテリアで彩られた2階の事務所スペース

 
食事も提供する2階の食堂。室内には自社製品の焼結濾過体を使った照明器具も設置(左下写真)

食事も提供する2階の食堂。室内には自社製品の焼結濾過体を使った照明器具も設置(左下写真)

 
食堂は大型テーブル席のほかソファー席なども

食堂は大型テーブル席のほかソファー席なども

 
 同社の主力製品・空気圧制御機器は、工場の生産ラインなどの自動化に欠かせないもので、自動車や半導体、食品製造をはじめ、あらゆる産業で使われる。日常生活でなじみのあるものではガソリンスタンドの洗車機、バスの開閉扉、歯科医の治療機器―などに組み込まれ、さまざまな装置の自動化を可能にする。同分野の国内シェア65%、世界シェアも40%弱とトップを誇る。
 
 近年では世界的な脱炭素化の動きにも対応する。消費電力、二酸化炭素排出量削減に貢献する省エネルギー製品を開発、設計し、各種産業界に提案。今後、さらなる需要増が見込まれる。
 
 同社の国内生産拠点は埼玉県草加市、茨城県常総市など関東以北に6カ所。海外は約30の国と地域に工場を持つ。釜石市では1991年に第1工場(上中島町)が操業。2000年には第2工場(岩井町)と第3工場(甲子町坪内)、01年には第4工場(甲子町松倉)が設置された。当初50~100人ほどだった従業員は現在、1~4工場合わせ約1500人にまで増え、同市を代表するものづくり企業として内外に認知される。釜石工場では部品製造から組み立て加工まで、製品の一貫生産を行っている。
 
 浦島勝樹釜石工場長は第5工場操業にあたり、「市内の雇用機会創出など、より一層地域に貢献できる工場を目指したい。当社では2026年の全体売り上げ1兆円を目標に掲げる。釜石工場としても人員を確保しながら生産能力を高め、目標達成の一翼を担えれば」と意を強くする。
 
 野田武則釜石市長は「SMCは今では、三陸沿岸地域の産業と雇用を支える県内有数の事業所となった。今回の釜石第5工場の稼働が、地域の雇用や経済振興に大きく寄与することを期待している」とのコメントを寄せた。
 
 同社では今回、需要増への対応として釜石市のほか、本県遠野市、茨城県下妻市の拠点にも新工場を設置している。

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