炎に願う平穏、感染収束 釜石・大渡町で伝統行事「どんと祭」 3年ぶり開催
「平穏な一年に」と願いを込め、正月飾りを燃やした「大渡どんと祭」
正月飾りを焚(た)き上げる伝統行事「大渡どんと祭」が7日、釜石市大渡町の大渡橋そばの甲子川河川敷で行われた。新しい年の多幸や平穏、新型コロナウイルスの収束-。集まった住民らは思い思いに願いを込めながら、立ち上がる炎を見つめた。
大渡町内会(菅原章会長、約350世帯)の祭典委員会が主催。コロナ禍で一昨年、昨年と中止が続いたため、3年ぶりとなった。今年で49回目。感染状況を踏まえて式典やお振舞いは控えた。
八角形に組み上げられたやぐらの前で代表者が拝礼した
市民が持ち込んだ正月飾りなどで山積みになったやぐらに点火
河川敷には丸太を組み上げた大きな八角形のやぐらが設けられた。朝早くから多くの住民が松飾りなどを持ち寄り、同町内会の役員らが受け取ってやぐら内に積み上げた。
午後1時過ぎ、駒木町の不動寺内にある弘法寺の森脇妙紀住職が家内安全、開運招福、諸願成就、コロナ収束、平和などを祈願し、代表者が拝礼。手製のたいまつで点火し、勢いよく炎が上がると、参加した人たちは静かに手を合わせたりしていた。
3年ぶりに大渡地区で行われた「どんと祭」
市民らは燃え上がる炎に願いを託した
小佐野町の平泉栄子さん(62)は「どんと祭がないと、正月が明ける感じがしなかった。燃え上がる火は離れて見ていても、熱気がすごい。今年はいい年になりそう」と目を細めた。一緒に参加した孫の高橋葉月君(6)=北上市在住=は春から小学生になり、「勉強を頑張りたい」とはにかんだ。そんな孫の様子を柔らかな表情で見守る祖母は「無事に入学し、元気に育ってほしい」と願った。
菅原会長(67)は「3年ぶりに開催できて、ほっとしている。商売繁盛、身体堅固など皆さんの願いがお焚き上げの炎で天まで届いてほしい。安心安全で住みやすい地域になるよう、大渡から盛り上げていきたい」と気持ちを新たにした。
釜石新聞NewS
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