ウメを新たな特産品に、浜千鳥 生産者後押し 摘み取り体験で認知拡大


2015/07/13
復興釜石新聞アーカイブ #産業・経済

たわわに実ったウメの実を丁寧に摘み取る体験会の参加者ら
たわわに実ったウメの実を丁寧に摘み取る体験会の参加者ら

 

 釜石市のA&Fグリーン・ツーリズム実行委員会(佐々木章夫会長)は5日、市内で生産拡大への取り組みが進むウメの収穫体験を栗林町で行った。同実行委の公募による体験プログラムの今年度第1弾。子どもから大人まで約20人が参加し、収穫時期を迎えたウメの実の摘み取り、ヘタ取りを体験した。

 

 体験場所を提供したのは同町沢田の農家、菊池一夫さん(85)。約300坪の農地に白加賀など3品種のウメを35本ほど栽培している。参加者は菊池さんから、ウメの木のせん定、花芽をつける時期、病害虫の駆除など収穫までの過程を教わった後、樹齢約15年の若木についた実を収穫した。

 

 友達同士で平田から参加した女性2人は「幼少時からウメの木は身近にあったが、こんなに大量に収穫するのは初めて。夢中になって採った。家庭で梅酒やシロップ漬けも作る。ウメはいろいろ活用できる」と作業を楽しんだ。

 

 菊池さんら釜石・大槌地区のウメ生産者と梅酒を製造する小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)などは昨年7月、釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長)を設立。良質なウメの生産、安定的な原料供給を目指し、生産技術向上や生産量拡大への取り組みを始めた。

 

 菊池さんは「研究会ができて専門的な指導も受けられるようになった。今年の実は近年でも良い出来で、収穫量も昨年より増えている」と手応えを実感。最終的に800キロ以上を同社に提供できる見込みだという。

 

 浜千鳥は2010年から地元産ウメを日本酒で漬け込む梅酒製造を開始。当初の販売本数(720ミリリットル入り)は3千本ほどだったが、今年は9千本まで拡大した。7日から発売された梅酒は、昨年収穫したウメを漬け込み約1年熟成させたもの。昨年は地元生産者11人から約2トンのウメが提供された。今年のウメは7月中に漬け込み、10月には実を引き揚げて来年まで熟成させる。

 

 新里社長と体験会に駆け付けた奥村康太郎醸造部長(34)=研究会事務局=は「一般の人たちに生産現場を体験してもらうことで、新しい釜石の特産として認知が広まれば。生産者の拡大にも期待」と貴重な機会を喜んだ。研究会には水産加工、製菓業者も加入。梅酒で使われた実はサケの加工品にも活用されており、今後のウメ商品開発の可能性も広がる。

 

 同実行委の一般向け体験プログラムは今後、7月25日にブルーベリー収穫・スムージー作り、8月1日に海の教室(海図の見方、ロープの結び方など)が予定されている。

 

(復興釜石新聞 第401号より 2015年7月11日発行)

 

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