釜石・和山高原 かつての絶景を再び 地元橋野町振興協がレンゲツツジ200本植樹


2022/10/10
釜石新聞NewS #地域

植樹作業にあたった橋野町振興協議会、栗橋地域振興社の会員ら

植樹作業にあたった橋野町振興協議会、栗橋地域振興社の会員ら

 
 釜石市の橋野町振興協議会(和田松男会長)は2日、地元の観光資源である和山高原長鼻地区にレンゲツツジ200本を植樹した。牧場用地を所有する一般社団法人栗橋地域振興社(旧・栗橋牧野農業協同組合、栗澤稔代表理事会長)の協力を得て実施。同地区には2013年以降、八重桜の植樹も行われており、今後、世界遺産「橋野鉄鉱山」と連動した地域の観光振興に期待が寄せられる。
 
 植樹が行われたのは、市指定文化財(天然記念物、1969年指定)の巨木「和山のシナの木」の東側に広がる平地。両団体から27人が作業にあたり、すでに植えられている八重桜とのバランスを考えながら、レンゲツツジの苗木を植えた。事業には県企業局と、健康食品の製造販売を行う毎日元気(本社札幌市、瀧澤潤賜社長)から計80万円の助成を受けた。
 
和山高原長鼻地区にレンゲツツジの苗木を植樹

和山高原長鼻地区にレンゲツツジの苗木を植樹

 
苗木の根元には元から自生する草を戻した

苗木の根元には元から自生する草を戻した

 
 和山高原は同市北西部に位置する標高約800メートル、広さ約1500ヘクタールの高原地帯。過去には、釜石製鉄所の合理化で落ち込む地域経済の活性化策として、1986年から6年間、和山フェスティバル(釜石青年会議所など主催)が開かれた経緯がある。その後は目立った観光振興策は行われずにきたが、2015年の「橋野鉄鉱山」世界遺産登録を契機に、市指定文化財のシナの木周辺を同振興社が整備。車両通行が可能な道路と駐車スペースを確保した。一帯にはこれまでに約300本の八重桜が植樹されており、大きいものでは高さ3メートルほどに育った木が花を咲かせ始めている。
 
レンゲツツジ(手前)と八重桜(後方)。色鮮やかな花が咲く春が楽しみ!

レンゲツツジ(手前)と八重桜(後方)。色鮮やかな花が咲く春が楽しみ!

 
苗木が元気に育つことを願って作業に汗を流す

苗木が元気に育つことを願って作業に汗を流す

 
 同振興協の和田会長は「元々ここはレンゲツツジが豊富な場所。30年以上前の景観を取り戻し、再び市民の憩いの場にできれば」と期待。山と海の環境の関連性にも着目し、「山で蓄えられた栄養が川から海に流れ込むことによって豊かな海産物が育つ。山が持つ本来の力をよみがえらせることで自然の好循環が生まれていけば」と、環境保全活動に意を強くする。
 
和山高原は「風車」のある景観も見どころの一つ

和山高原は「風車」のある景観も見どころの一つ
 
サクラとツツジが植えられた平原から望む風力発電用の風車

サクラとツツジが植えられた平原から望む風力発電用の風車

 
 和山高原を中心とした釜石、遠野、大槌3市町にまたがる丘陵地帯では、2004年から風力発電事業(ユーラス釜石広域ウインドファーム)が行われている。現在43基の風車が稼働するが、今後、既存設備を撤去し、新たな設備に建て替える事業が計画される。同振興協では「更新工事が完了する28年を見据え、長鼻地区の環境整備を続けていきたい。以前、可能だった太平洋を見下ろせる景観の復活も模索していければ」としている。
 
和山高原はススキが風に揺れ秋の装い。天然記念物のシナの木(左下写真)の紅葉も今後進む

和山高原はススキが風に揺れ秋の装い。天然記念物のシナの木(左下写真)の紅葉も今後進む

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