栗林小3、4年生 エネルギー学習の成果発表 好奇心くすぐるサイエンスショーも
「東北電力エネルギーチャレンジ校」として取り組んだ学習の成果を発表する栗林小の3、4年生
東北電力岩手支店(山中貞一支店長)の支援を受け、電気やエネルギーの学習を進めてきた釜石市の栗林小(八木澤江利子校長、児童33人)で9月28日、成果発表会が開かれた。5月から同学習に取り組んできた3、4年生13人が、3つのテーマでまとめ発表。自分たちの未来に関わるエネルギー問題について、他学年の児童らに分かりやすく伝えた。発表後は岩手大理工学部の高木浩一教授によるサイエンスショーもあり、科学の楽しさを体感した。
同校は、同支店が取り組む本年度の「東北電力エネルギーチャレンジ校」に応募。社員によるエネルギー出前講座、同社の栗橋発電所(水力)見学から得た学びの成果を児童たちがまとめた。縦割りで作った3グループがそれぞれ、1.いろいろな発電の種類2.地球温暖化とエネルギー3.環境にやさしいエネルギー、というテーマで発表した。
1グループは火力、原子力、風力、バイオマスの各発電方法と長所、短所を紹介。2グループは地球温暖化(二酸化炭素増加)の原因、温暖化が及ぼす影響、防止策について説明した。3グループは水力、太陽光発電に着目。自作したミニ発電機やソーラーカーでの実験、発電機の分解などに挑戦した様子を映像で見せた。
各グループがそれぞれのテーマで学習成果を発表
発電実験の映像を見せながら発表したグループも
限りある資源、安定的な電力確保、地球環境への負荷低減などの視点で、今後必要な施策として3つのグループが導き出した答えは「エネルギーミックス」という考え方。長所を生かし短所を補うためにさまざまな発電方法を組み合わせることが大事とし、同時に節電など自分たちができる行動も不可欠とした。
実験に取り組んだ小國怜義君(4年)は「電気を作るのは大変だった。使う量を減らすなどエネルギーを大切にしていきたい。学んだことは家族にも伝える」と意欲的。学習機会をくれた東北電力の仕事にも興味をそそられた様子で、「将来、入れたら」と憧れをのぞかせた。
電気やエネルギーに関わる楽しい実験を見せた岩手大理工学部電気電子通信コースの高木浩一教授
発表会の後はお待ちかね、サイエンスショーの開演。前段で高木教授は児童たちにクイズを出しながら、エネルギーや二酸化炭素の特性について解説。日本人1人が1日に使っているエネルギーを石油の重さで表すとどのくらいか、二酸化炭素が増えすぎるとどうなるか―など具体例を紹介した。この後、マイナス190度の液体窒素を使い、空気も熱をエネルギー源に動いていることを示す実験などを行った。目の前で起こる不思議な現象に、児童らは驚きの声を上げながら見入った。
日本人1人が1日に使うエネルギー10キロの重さを体験する児童
膨らませた風船をマイナス190度の液体窒素に入れると一瞬でこんな形に
液体窒素に漬けたスナック菓子を口に入れた児童は思わぬ感覚にこの表情!
液体窒素に浸したスナック菓子を口にした佐々木さやかさん(5年)は「アイスとも違う初めての感覚。鼻から出る空気も冷たいまま」と貴重な経験に大喜び。さまざまな実験で起こる現象に目を輝かせ、「面白いし不思議。どうしてそうなるのか仕組みも調べてみたい」と科学(理科)に対する学習意欲をかき立てられた様子。
高木教授は「児童たちが水力発電をやってみて難しいと感じたように、自分で試して初めて分かることは多い。知識だけで分かった気にならず、試してみようという気持ちが大事。経験することで身になっていく」と話した。
しぼんだ風船はしばらくすると元通りに。児童らは不思議な現象に興味津々
電気エネルギーの実験に目がくぎ付け!
酸素と二酸化炭素を入れた2つの風船の重さを体験
東北電力エネルギーチャレンジ校は岩手支店独自の取り組みで、2019年にスタート。小中学生の電気やエネルギーへの関心を引き出し、未来につなげることを目的とする。本年度は県内3小学校で実施された。参加した栗林小には同支店から教育備品としてプログラミングスイッチが寄贈された。
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