自分で浴衣を着る楽しみを子どもたちに 文化庁事業で釜石初開催「和装・作法教室」


2022/09/13
釜石新聞NewS #地域 #文化・教育

小中高生を対象に初開講した「和装・作法教室」

小中高生を対象に初開講した「和装・作法教室」

 
 子どもたちを対象とした「和装・作法教室」が4日、釜石市で開講した。同市小佐野町に本部を置く三陸きもの学院(及川ナツ子学院長)が母体の同教室はまゆりの会(会長=及川学院長)が主催。文化庁の伝統文化親子教室事業の採択を受け、本年度初めて取り組む。10月まで全6回の教室で浴衣の着付けや和装時の礼儀作法などを学ぶ。
 
 小中高生を対象に受講者を募集。10人が申し込んだ。初回は会場の市民ホールTETTOで開講式が行われ、小学1~5年の6人と同会の指導者11人が顔をそろえた。及川会長(83)は「日本の伝統文化の着物の中で、一番着やすいのが浴衣。普段着のような感覚で着られる。自分なりにゆっくりと学んで」とあいさつ。受講生、指導者がそれぞれ自己紹介し、さっそく講習に入った。
 
 受講生が持参した浴衣と帯を使い、自分で着る方法を教えた。浴衣の丈は“くるぶし”ぐらい、外出時は若干長めが基本。この日は襟合わせ、ひもの使い方から帯の結び方まで一通りの流れを体験した。低学年は兵児(へこ)帯を結び、高学年は半幅帯で手軽な「文庫結び」に挑戦した。
 
マンツーマンで浴衣の着付けを教えてもらえる教室。手順を習ったら1人でも挑戦

マンツーマンで浴衣の着付けを教えてもらえる教室。手順を習ったら1人でも挑戦

 
ふわふわの“へこ帯”は子どもの浴衣姿を一層かわいらしく演出

ふわふわの“へこ帯”は子どもの浴衣姿を一層かわいらしく演出

 
高学年は「文庫結び」を体験。これを覚えれば「蝶結び」などのアレンジも可能

高学年は「文庫結び」を体験。これを覚えれば「蝶結び」などのアレンジも可能

 
 和装時の立ち居振る舞いも体験。履物の扱い、座敷での歩き方、座り方、立ち方、お辞儀の仕方を教わった。及川会長は「畳1畳を4~5歩で。背筋を伸ばして」などと声掛け。時と場合によって使い分ける3種のお辞儀「真礼・行礼・草礼」も紹介した。
 
 井上千里さん(双葉小1年)は「いつもはおばあちゃんに着せてもらう。今日やってみたら自分でも上手に着られてうれしかった」とにっこり。柏舘夕奈さん(甲子小4年)は「最初は難しかったけど、教わってうまく着られると達成感がある。最後には全部自分でできるようになって、着付けてくれていたおばあちゃんに見せたい」と希望。見守った夕奈さんの母直子さんは「真剣そのもの。教室が親子や祖母と孫との会話のきっかけにもなれば。国際交流の場で、日本の魅力の一つとして着物や浴衣の紹介ができるような人になってほしい」と期待した。
 
「うまくできたかな?」初めて結んだ帯の様子を指導者とチェック

「うまくできたかな?」初めて結んだ帯の様子を指導者とチェック

 
教室を主催した、はまゆりの会の及川ナツ子会長(右)。学院生らと子どもたちの指導にあたる

教室を主催した、はまゆりの会の及川ナツ子会長(右)。学院生らと子どもたちの指導にあたる

 
 教室ではこの後、浴衣の着付けや礼法の実践を繰り返しながら着物の知識なども学ぶ予定。最終の10月30日には発表会を行う。及川会長は「子どもでも思ったよりできていた」と初回の手応えを実感。今後に向け「帯もいろいろな結び方があるので、楽しみながら学んでくれたら。お辞儀の仕方もぜひ覚えてほしい。回数を重ねることで着物に興味を持ってもらいたい」と願った。
 
和装時の歩き方を学ぶ受講生。最後の発表会も楽しみ!

和装時の歩き方を学ぶ受講生。最後の発表会も楽しみ!

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