清流が育む自慢の味 釜石・甲子川のアユ300匹お振る舞い!地域団体初の企画


2022/08/25
釜石新聞NewS #地域

道の駅釜石仙人峠で開かれた「甲子川のアユを味わう会」=21日

道の駅釜石仙人峠で開かれた「甲子川のアユを味わう会」=21日

 
 味の良さで全国の釣り人を魅了する釜石市、甲子川のアユ―。良好な水質が生む魚のおいしさを感じてもらい、河川環境の保全意識につなげようと21日、甲子町の道の駅釜石仙人峠でアユのお振る舞いイベントが開かれた。地元の甲子地域会議(菅原武議長)が甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、同道の駅(佐々木雅浩駅長)の協力を得て初めて企画。用意した300匹のアユは、開始から2時間余りでなくなる盛況ぶりを見せた。
 
 甲子川のアユは、2016年に岐阜県で開かれた「清流めぐり利き鮎会」の味比べでグランプリに輝いた実績がある。この日のお振る舞いでは、市内の釣り人らが今シーズン釣り上げたアユを塩焼きにして無料提供。店頭には並ばない味を求めて、午前10時の開始前から行列ができた。来場者は焼き立てを受け取ると、川沿いの特設席などで味わった。
 
アユの塩焼きをカプッと!! お味はいかが?

アユの塩焼きをカプッと!! お味はいかが?

 
甲子川の眺めを前にアユを味わう家族連れ

甲子川の眺めを前にアユを味わう家族連れ

 
 鵜住居町の佐藤直輝さん(32)は「アユは苦手だったが、最近食べられるようになった。今日のは臭みもなくて、とてもおいしかった」と地元の味を堪能。魚好きの長男凰斗(おと)君(3)はこの日がアユ“デビュー”。串焼きのアユを頬張り、初めての味に満面の笑みを広げた。
 
 河川漁協のない甲子川では、同協力会に寄せられる釣り人らの寄付や市の助成金で毎春、稚アユの放流事業を実施。資源維持に努めている。会によると、今年は解禁日以降、大雨などの影響で水温の変動が激しく、釣果は近年になく低迷。安久津会長(81)は「地元の釣り人の協力で何とか目標の数を確保できた。サイズは平均20センチとやや小さいが、味は抜群」と天然の川で育ったアユをPR。
 
アユは甲子川鮎釣協力会のメンバーらが炭火などで焼いて提供

アユは甲子川鮎釣協力会のメンバーらが炭火などで焼いて提供

 
 甲子川は三陸沿岸特有の地形で斜度がきついため、砂や泥がたまりにくく、大雨後の水の濁りの回復も早い。上流の山々から湧き出る水は、「仙人秘水」に代表されるように水質が良く、アユの餌となる豊富なコケを育む。こうした好条件がアユのおいしさにつながっている。
 
 同道の駅の佐々木駅長(60)は施設入り口に掲げられる「アユ躍る清流と甲子柿の里」という道路案内標識に触れ、「オープンして7年。来店客からアユを食べたいという声も多く聞かれた。今回、その味をお披露目できたのは大きい。次につながる一歩」と歓迎。同地域会議の菅原会長(78)は「甲子川のアユはここでしか味わえない味。きれいな川を守りながら、また日本一になれるように地域としても盛り上げていければ」と話した。
 
続々と訪れる客に焼き立てアユをお振る舞い

続々と訪れる客に焼き立てアユをお振る舞い

 
アユの塩焼きを受け取り、笑顔を見せる来場者

アユの塩焼きを受け取り、笑顔を見せる来場者

 
 会場では資源維持のための募金活動も行った。来場者が寄せた募金は稚魚の放流事業に役立てられる。

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