師走恒例「かまいしの第九」へ再始動 3年ぶり開催、合唱メンバー「熱い歌声を」
年末の演奏会へ向けて合唱練習を始めた「かまいし第九の会」
師走の釜石市を彩る響き、再び-。市民らがベートーベンの交響曲第9番(第九)を歌う「かまいしの第九」が12月11日、大町の市民ホールTETTOで3年ぶりに催される。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていたが、再び歴史を刻むべく、23日から「かまいし第九」実行委員会による合唱練習がスタート。合唱メンバーらは、一人でも多くの人に「熱い歌声」を届けようと練習に力を入れる。
7月23日、小佐野コミュニティ会館(小佐野町)で「かまいし第九の会」の発会式があり、約30人が参加。実行委の川向修一会長(70)は「コロナの第7波が急拡大する中、荒波に向かって船をこぎ出す形となった。収束を願いつつ、とにかくスタートし、演奏会ができれば成功だと思う。12月に向かって頑張りましょう」と呼び掛けた。
小原さん(左)の指導で、マスクのまま練習するメンバー
式後、早速練習を開始。合唱指導を担当する小原一穂さんのリードで、第九の中でも最もよく知られた「歓喜の歌」などに挑んだ。久方ぶりの練習だが、思った以上に声が出て、「皆さん、待っていたかのよう」と小原さん。再開と再会を喜ぶメンバーらに「集まった人で歌声、思いを合わせるのが合唱の最大の楽しみ。役割分担しながら自分たちの第九を表現して」などと助言した。
今回は、県内在住で第九を歌った経験がある人を中心に参加を呼び掛けた。野田町の石田昌玄さん(48)は15回目の参加。「2年のブランクが不安だったが、歌声を聴いたら、何十年もやってきた先輩たちの貯金があると感じた。音楽は体、心の中に残っている。コツコツと日々の練習を大事にし、みんなと一つのものを作り上げる楽しみを分かち合いたい」と熱を込める。知的な雰囲気に憧れて初参加した人も。平田の坂本和子さん(81)は「歌声がすてき。大変そうだけど、一員になれるよう挑戦したい。悔いのない人生にするために」と前向きだ。
練習の合間には笑顔も。みんなで歌う喜びを演奏に乗せる
第九の合唱練習は主に土曜日の午後3時半~5時半、同館を使用する。合唱の定員は80人とし、8月6日まで参加申し込みを受け付ける。申し込み、問い合わせは事務局(電話090・6780・0434/メールkamaishinodaiku@yahoo.co.jp)へ。
かまいしの第九は1978年に始まり、東日本大震災のあった2011年も休まず公演。19年まで42回の歴史を刻んできたが、コロナ禍が続き2年間は中止を余儀なくされた。43回目となる今年の演奏会は釜石市民ホールで、12月11日午後1時半の開演を予定する。
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