春の山火事防止へ 郵便・宅配業者と連携 釜石郵便局で出発式


2022/03/05
釜石新聞NewS #防災・安全

防災広報ステッカーを貼った車両を見送り=3月1日、釜石市只越町・釜石郵便局

防災広報ステッカーを貼った車両を見送り=3月1日、釜石市只越町・釜石郵便局

 

 3月1日からスタートした山火事防止運動(5月末まで)に合わせ、県沿岸広域振興局(森達也局長)と郵便・宅配事業者が連携する啓発活動の出発式が釜石市只越町の釜石郵便局(川村博幸局長)で行われた。「山火事注意」のステッカーを掲示した配達車両が関係者に見送られて出発。地域を走りながら住民らに山火事予防、火の取り扱いに関する注意を促す。

 

 森局長は「(配達車など貨物輸送車両は)住民の目に触れ、山火事防止の啓発に効果がある」と期待。日本郵便岩手県東部地区連絡会の菊池浩康地区統括局長(遠野市・綾織郵便局長)は「しっかりと取り組む。今後も地域の安全安心、住民生活のサポートを追求したい」と力を込めた。

 

 県と郵便局、宅配事業者がそれぞれ結ぶ包括連携協定に基づく取り組み。昨年は釜石地区(2市町)で実施したが、2年目の今年は沿岸振興局管内全域(9市町村)に広げる。郵便局(釜石、大船渡、陸前高田、宮古、岩泉郵便局)94台、ヤマト運輸(釜石、大船渡、陸前高田、宮古、久慈営業所)83台、佐川急便(釜石、大船渡、三陸営業所)44台の計221台(昨年46台)を投入。ステッカー(縦10センチ、横30センチ)はシール式で、赤地に白い文字が書かれている。

 

「山火事注意」ステッカー渡し、佐川急便に協力依頼

 

ステッカーを手にする佐川急便の関係者と森局長(右)=2月24日、釜石市新町・釜石地区合同庁舎

ステッカーを手にする佐川急便の関係者と森局長(右)=2月24日、釜石市新町・釜石地区合同庁舎

 

 佐川急便には運動開始前の2月24日、ステッカーが託された。新町の釜石地区合同庁舎を訪れ、森局長からステッカーを受け取った同社北東北支店(盛岡市)の田口淳子副支店長は「視線を感じる取り組みで、従業員の意識、サービス向上につながる。山火事ゼロとなるよう協力したい」と意気込みを伝えた。

 

山火事 原因の多くは「人為的」 見える注意啓発が一番の手段

 

ステッカーやチラシで山火事防止を呼び掛ける沿岸広域振興局職員

ステッカーやチラシで山火事防止を呼び掛ける沿岸広域振興局職員

 

 県内では昨年26件の山火事が発生し、約7割が3~5月に集中。雪解けが終わり、空気の乾燥や強風の時季に加え、下草が生える時期でもあり、わずかな火元から大規模な林野火災になる恐れがある。例年、山火事の原因は野焼きやたき火、たばこの不始末などによる「人為的」なものが約7割を占めることから、屋外での火の取り扱いは細心の注意が必要だ。

 

 沿岸振興局農林部によると、管内の山火事発生件数は2017年が11件(焼失面積416・88ヘクタール)で、同年5月には釜石市の尾崎半島で山林約413ヘクタールを焼失した。18年は7件(同46・45ヘクタール)、19年が10件(同3・47ヘクタール)、20年5件(同1・81ヘクタール)。同種事業者が山火事防止の啓発活動に協力するという全国で初めての取り組みを展開した昨年は4件、1・65ヘクタールで、ここ数年では件数、面積とも最小だった。

 

 1人ひとりの山火事防止意識の向上が求められ、同部担当者らは「注意啓発が一番の手段」と強調する。同種事業者らによる「目に留まる」取り組みは注意喚起の呼び掛けになり、協力車両と従業員は防火監視という役割も期待される。

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