「復興五輪」へ 世界に発信、被災地ツアーで釜石スタジアムへ〜欧米 アジアの10カ国メディアが参加
イベントに参加した子どもらを熱心に撮影する海外メディア
「復興五輪」を理念に掲げる2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、東日本大震災の復興状況を世界に発信してもらおうと、東京都は18、19の両日、海外メディア向けの被災地ツアーを本県沿岸部で実施した。釜石市では18日、釜石鵜住居復興スタジアムを視察。野田武則市長の話やラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催への取り組みなどについて聞き、被災地の今に理解を深めた。
ツアーには在京海外メディアを中心に、欧米やアジアの10カ国17人が参加した。スタジアムでは、釜石や台湾など国内外の子どもたちが参加するタグラグビーイベント(一般社団法人子どもスポーツ国際交流協会主催)が開催されており、施設見学と合わせ、イベント取材も行った。
各国の記者やカメラマンからは野田市長に対し、1カ月後に迫ったラグビーW杯の準備状況、震災復興を進める中でのW杯の位置付け、W杯後のレガシー(遺産)などについて質問があった。野田市長は「最終目標は被災者一人一人の復興。安心して暮らせるまちへ、ラグビーの精神も大きな礎になると思う」と述べた。W杯のプレゼンテーションでは、新日鉄釜石ラグビー部のV7から始まる〝ラグビーのまち釜石〟の歴史、震災からの復興の歩みを説明し、釜石開催の意義を示した。
野田市長へのインタビューではW杯や復興について熱心に聞いた
フランス出身のフリージャーナリスト、ダビッド・マルイユさん(48)は「復興の先にある未来を釜石市がどうしたいのか知りたい」と参加。津波から逃れた小・中学生が通っていた学校跡地にスタジアムが建設されたことにも注目し、「希望を持ち、まちを再生させようと生きているのが分かった。住民がどう関わっているか、直接会って具体的な話を聞いてみたい」と望んだ。
一行は三陸鉄道にも乗車。釜石―盛間を走り、鉄道再開の軌跡を学んだ。翌19日は陸前高田市を訪問し、高田松原津波復興祈念公園などを視察した。
同ツアーは今月2、3日の福島県からスタート。来月14、15日には宮城県で実施される。
(復興釜石新聞 2019年8月21日発行 第817号より)
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