ルームシェアと民泊で空き家活用、釜石市平田運用開始〜「協力隊」居住 受け入れに一役
借り受けた建物を民泊向けに貸し出す地域おこし協力隊の吉野さん(左)と神脇さん
釜石市内に数多くある空き家を活用して地域活性化につなげようと、ルームシェアと民泊を組み合わせた取り組みが始まり、3日、モデルケースとして運用される建物が公開された。上平田ニュータウン内にある空き家に地域おこし協力隊の単身者2人が住み、普段は利用しない2部屋を民泊向けに貸し出す仕組み。市は、深刻な社会問題となっている空き家解消策の一つとして可能性を探るほか、今秋開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の宿泊施設不足を補う方策としても期待する。
「ヘイタハウス」と名付けられた木造平屋の建物(104平方メートル)は築25年で、この10年間は空き家となっていた。この建物を借り受けた同隊員の吉野和也さん(38)、神脇隼人さん(30)が改修した上で、5部屋のうち定員3人と4人の2部屋を民泊用に貸し出す。料金は素泊まり1泊3500円(税別)に設定する。
釜石市、不動産・住宅情報サイト「LIFULLHOMES」などの住生活情報サービスを提供するLIFULL(井上高志社長)、楽天LIFULLSTAY(太田宗克社長)が17年に締結した「空き家利活用を通じた地域活性化連携協定」の事業の一つ。17年に成立した「民泊新法」により可能となった。
民泊向けに貸し出す部屋で
空き家所有者は賃貸で家賃収入を得ることができ、民泊用に部屋を貸し出す居住者は副業として月々の家賃を補てんする仕組み。市とLIFULLは空き家の選定や入居者の募集、物件の管理・利活用に関するコーディネートを行い、楽天LIFULLSTAYは民泊事業を始めるための物件改修の監修、民泊施設運営のノウハウを提供する。
市によると、16年調査で市内には約830件の空き家があるが、単身者向けの手頃な家賃の物件が少なく、移住や定住を促進する上で課題となっている。
地域おこし協力隊の2人はいずれも千葉県出身。まちづくり分野を担当する吉野さんは「地域の人たちと、市外からやって来た人などとの交流の場としても活用できれば」と可能性を探る。釜石に来る前は不動産業に携わっていた神脇さんは「釜石は家賃がすごく高いと感じた。低額の空き家利用として認知されれば」と期待する。
宿泊は民泊予約サイト「Vacation STAY」で予約できる。
(復興釜石新聞 2019年4月6日発行 第780号より)
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