野鳥の鳴き声に耳澄ます、震災後初の観察会〜甲子町福祉の森、釜石野鳥の会がサポート
緑生い茂る空間で野鳥観察を楽しむ参加者。自然の中は新鮮な発見もいっぱい=17日、福祉の森
釜石市主催の自然に親しむ市民の集い「山野の鳥観察会」が17日、甲子町大畑の福祉の森で開かれた。6月の環境月間にちなんだ行事で、震災後は初めての開催。子どもから大人まで25人が参加し、釜石野鳥の会(臼澤良一会長)のレクチャーで、野鳥観察やネイチャーゲームを楽しんだ。
参加者は同会会員の案内で、新緑がまぶしい散策路を進み、野鳥の鳴き声に耳を澄ませた。声がする方向に目を凝らし、双眼鏡をのぞき込むと、森に暮らす鳥の姿が…。図鑑と照らし合わせ、名前や特徴を学んだ。
午前10時すぎから約1時間の観察で、13種類の野鳥を確認。愛らしい顔で愛好家に人気のエナガは複数の個体が見られたほか、巣づくりをしていると思われるヤマガラ、同会が以前、設置した巣箱を出入りするシジュウカラも見ることができた。
姿は確認できなかったが、特徴的な鳴き声のサンコウチョウのさえずりも耳にした。尾が長く優雅に飛ぶ姿が魅力的な鳥だが、なかなか見ることができないという。臼澤会長も「観察会の下見の際に10年ぶりぐらいに目にした」と話す。
確認した鳥の種類を全員で共有した後は、ゲームに挑戦。自然の産物を探して完成させる「フィールドビンゴ」、植え込みに置いた人工物の数を見極める「カムフラージュ」を行い、自然観察の目を養った。ビンゴでは鳥の卵殻や上空から落ちてきた、鳥が食べた松の実の破片を発見した人もいた。
小笠原皐さん(甲子小4年)は「名前を知らなかった鳥も図鑑で調べられたし、きれいな鳴き声も聞けて楽しかった。また参加してみたい」と初めての観察会を満喫。
臼澤会長(69)は「種類は少なめだったが、鳥の生活の一端をのぞき見ることができ、子どもたちも喜んでくれた。鳥も人も地球の仲間。みんな生かされていることを再認識する場にもなった」と会の復活を歓迎。確認できる種類は時期や時間帯、天候によっても異なるといい、「5月のバードウイークごろだと20種類ぐらいは見られるのでは」と予想した。
自然に親しむ市民の集い事業では震災前、野鳥、ホタル、星空の3観察会を実施。野鳥は、春の「山野の鳥観察会」(楢ノ木平)、冬の「水辺の鳥観察会」(鵜住居川河口域)を開催。釜石の豊かな自然を体感できる機会として市民から好評を得てきた。震災後は事業を見送ってきたが、昨年からホタル観察会を再開。今年は7月にホタル、8月に星空の観察会を予定する。
(復興釜石新聞 2018年6月20日発行 第699号より)
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