英国スコットランドから、教育関係者ら釜石視察〜釜石高で英語の授業、ラグビーW杯会場も
釜石高を訪れたスコットランド教育関係者。昨年のオークニー研修に参加した生徒6人と交流を深めた
ラグビー伝統国の一つ、英国スコットランドの教育関係者ら20人は15日、釜石市を訪れ、日本の文化や教育事情、震災からの復興状況などに理解を深めた。釜石高(佐藤一也校長、生徒531人)では英語の授業を見学。同国でも関心が高い2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場の一つとしてスタジアムの建設準備が進む鵜住居町では学校の建設現場などを視察した。
国際交流基金(東京)の招聘(しょうへい)事業の一環。同国では将来を担う若者たちの国際競争力を高めようと、小学校で母国語に加えて2つの外国語を学ぶ教育政策が推進されており、「第2外国語」として日本語への関心が高まっているという。言葉だけではなく、文化や教育環境に触れてもらい、日本語の可能性を感じてもらおうと今回の視察を企画。12日に来日した一行は都内で小学校を訪れ、関係者と意見を交わした。
熱意溢れる高校生の姿に感心
文科省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)校に指定されている釜石高は、14年度から3回、海洋再生可能エネルギーを学ぶ海外研修で英国北部のスコットランドにあるオークニー諸島を訪問。今回、交流を発展させる機会にと釜石市に足を延ばした。
同校では1年1組(37人)の英語の授業を見学。英語でスピーチする生徒の夢に耳を傾けた。教師、看護師、税理士などさまざまな職業を挙げる中、「復興に関わる仕事がしたい。そのために必要な人を導くリーダー力を付けたい」と発表した生徒もいて、オークニー諸島議会議員(教育担当)のウィルフ・ウェアさん(56)は「若くて熱意にあふれる高校生の姿が印象的。日本の教育のすばらしさをスコットランドで伝えたい」と感心していた。
懸命に言葉を伝えようとする生徒に向けられた、たくさんの笑顔
同国の教育関係者らは「英語を見て書くことと、聞いて書くのはどちらが難しい?」などと生徒に質問。知っている単語を駆使して答えようと頑張った生徒たちは「何とか言葉が通じた。あやふやな所をしっかり覚えたい」と刺激を受けた様子だった。
同校の教育理念や学校生活の説明、昨年9月のオークニー研修に参加した3年生6人と交流する場面もあった。
このあと一行は鵜住居町に移動。高台に再建が進められている学校の建設現場で被災状況の説明を聞き、復興の様子を確認した。
鵜住居町では学校建設現場を見学した
日本語教育を取り入れているという同国ファイフ市のベル・バクスター高カリキュラムリーダー、ぺトラ・マクレイさん(39)は日本の教育システムや教育者の熱心さに感銘を受けた様子だが、日本語教育の普及には指導者不足という課題があると指摘。「日本語を取り入れたいと考えている各地のネットワークをつなげていければ可能性はある。それぞれの教育システムを比較して良いところを取り入れたい」と話していた。
一行は、京都で寺めぐりや座禅体験などを通じて日本文化にも触れ、18日に帰国する。
(復興釜石新聞 2017年2月18日発行 第564号より)
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