釜石地方森林組合、「木と鉄」の家具を開発〜材料、デザイン、加工を地元で


2016/12/22
復興釜石新聞アーカイブ #産業・経済

「木と鉄」で釜石らしさを追求して生まれたテーブルセット(左から宮崎さん、高橋参事、岩間さん)

「木と鉄」で釜石らしさを追求して生まれたテーブルセット(左から宮崎さん、高橋参事、岩間さん)

 

 釜石地方森林組合(久保知久代表理事組合長、組合員1670人)はスギの間伐材と鉄の丸棒を組み合わせたテーブルセットを開発、販売に乗り出した。「釜石の木と釜石の鉄」をテーマに掲げる製造販売事業「mori―to―tetsu(森と鉄)」のシリーズ第1弾となる。同事業で、釜石地域で産出するスギ間伐材の付加価値を生み、地元の創造力(デザインと技能)を結びつけ、地元内での経済循環による「なりわい」強化を期待する。

 

 製品の披露会は14日、片岸町の同組合事務所で行われた。11月28日に急逝した佐々木光一・前組合長の職務を7日に引き継いだ久保組合長は、「林業を取り巻く環境は厳しい。釜石地域は『鉄と魚』とうたうが、この際、『鉄と木のまち』とする新しいブランドに取り組もうと考えた」と基本姿勢を語った。

 

 製品1セットは、テーブルがスギの板6枚を合わせた天板(横135センチ、縦81センチ、厚さ4・5センチ)で、高さ70センチ、重量35・2キロ。いすは4脚で、スギ板3枚のシートは幅40センチ、背もたれ(幅35センチ)を含む全高80センチ、重量9・5キロ。

 

 テーブル、いすは鉄の丸棒をむきだしに、接ぎ方は板に差し込む方法。また、板の接着、強度の確保を目的に鉄棒を埋め込んだ。鉄の材質は、表面が酸化で黒くコーティングされる「黒皮鉄」を選んだ。

 

 デザインは、一級建築士、一級施工管理士、インテリアコーディネーターの宮崎達也さん(44)。三重県鈴鹿市で宮崎建築事務所を経営し、東日本大震災後の2012年に釜石市に転居、復興事業の設計にも携わる。「木の節もそのままに、柔らかさ、ぬくもりある肌触りを生かし、耐久性と強度を持ったデザインを心掛けた」と語った。

 

 鉄の加工は、浜町での創業から三代目の大平町、岩間鉄工所の岩間邦明さん(38)。鉄オリジナル小物やインテリア(サイドテーブル、ハンガーラックなど)も手掛ける。「鉄と木を組み合わせるのは初めて。木の柔らかさに対応するのが難しかった。黒皮鉄の質感はいいが、表面の被膜を損なわないようにする必要がある」と、技術的な挑戦を語った。

 

 同森林組合の高橋幸男参事は、大震災の復興に立ち向かいながら着想した思いが具体化し、「釜石を表し、発信するアイテムにしたい」と意欲を高める。

 

 同組合事業を支援する釜援隊(釜石リージョナルコーディネーター)の手塚さや香さんは、この「チーム」結成、「さんりく基金県北沿岸地域特産品開発事業」助成金の申請と交付決定などに駆け回った。

 

 セット価格は34万2千円。個別の注文や、若干のサイズ変更にも応じ、受注から1カ月で納品できる。同組合事務所に展示するほか、県内外のイベント出展も見込む。

 

 注文、問い合わせは同組合(電話0193・28・4244)へ。

 

(復興釜石新聞 2016年12月17日発行 第547号より)

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