地産地消へ流通システム構築〜薪を安価に安定的に調達 さまざまな波及効果期待、森林資源活用研究会


2015/12/08
復興釜石新聞アーカイブ #産業・経済

森林資源活用研究会

釜石地方森林組合の原木置き場で9月に開かれた「薪づくりまつり」

 

 釜石地方森林組合と連携し、薪(まき)燃料流通システムの構築に取り組んでいる「森林資源活用研究会」は、薪が手に入りやすくなったとしてストーブユーザーなどに利用を呼びかけている。山林所有者などから丸太材を買い取り、薪燃料として販売する仕組み。市販価格より格安で販売するが、その代わり購入した材木は自分の手で割るなど燃料用として加工するのが原則。研究会は、この試みからさまざまな波及効果を期待する。薪ストーブ生産者で研究会事務局を担当する石村工業の石村真一社長(62)は「薪の地産地消を進めたい」と思いを膨らませる。 

 

 再生可能エネルギーの一つとして普及が期待される薪は、販売する所が少ない上、石油などと比べ割高なのがネック。釜石市内には現在、薪を売っている所はない。石村工業が生産する薪ストーブは木質ペレットも使用できるが、入手が困難で、現在は秋田県の業者から仕入れているという。デザイン性にも優れた同社の薪ストーブはヒット商品となり、これまで全国に2300台余りが売れているが、釜石市内では50台程度にとどまる。

 

 そこで、薪を安価で安定的に供給するシステムはできないかと、昨年6月に任意団体の森林資源活用研究会を発足。釜石地方森林組合の協力で原木の置き場を敷地の一角に確保。ストーブや風呂、給湯などに用いる薪を、ここで購入できるシステムを整えた。

 

 1キロ当たりの販売価格は、薪割りと運搬を自分で行う場合、ナラ類11円、広葉樹10円、針葉樹8円。市販価格の5分の1程度という。購入者はここで薪を割り、自宅まで自分で運搬するのが原則。この試みには低質材の流通促進、林内の美化、薪利用の普及などのメリットがあるほか、薪ユーザー同士の交流促進にも期待も込める。

 

 薪流通の仕組みを知ってもらおうと、今年9月と今月の2回、「薪づくりまつり」を開催。参加は10人足らずと少なかったが、石村社長は「薪流通システムの周知に努め、少しずつ利用者を拡大して軌道に乗せたい」と意欲を見せる。

 

 薪は月~土曜日に販売しており、薪を割る機材は森林組合が貸してくれる。原木を提供してもらえる山林所有者からの買い取りも行う。申し込み・問い合わせは石村工業(電話0193・22・3641)へ。

 

(復興釜石新聞 2015年11月28日発行 第440号より)

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