世界遺産「橋野鉄鉱山」見学再開〜台風豪雨で被害、PRへ取り組み強化


2016/11/29
復興釜石新聞アーカイブ #観光

見学の受け入れを再開した世界遺産「橋野鉄鉱山」(高炉場跡)

見学の受け入れを再開した世界遺産「橋野鉄鉱山」(高炉場跡)

 

 8月30日の台風10号による豪雨被害で見学を中止していた釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」は、遺跡の保護や見学者の安全確保のための応急措置などが行われ、19日から見学者の受け入れを再開した。インフォメーションセンターは冬期閉鎖の開始日を遅らせ、例年より10日間長い12月18日まで開館する。

 

 橋野鉄鉱山は台風10号で、高炉場跡の遺構に目立った被害はなかったが、エリア内の表土が一部流失し地下の遺物が露出したほか、隣接する二又沢川の護岸被害や倒木などがあった。インフォセンターでは停電や断水が発生。停電は早い段階で復旧したが、給水設備は復旧困難な状態となった。

 

 このため、市は見学者の受け入れを中止し、被害調査や遺跡保護、見学者の安全確保のための対策を実施。センターは井戸の新設で水道が利用できるようにし、約2カ月半ぶりに開館した。土・日曜日と重なった19、20日は、雨が降ったりやんだりのあいにくの天候だったが、再開を聞きつけた市内外の見学者が訪れた。

 

 設備工事の仕事で3日前に釜石に来たばかりという札幌市の加藤功さん(61)は、駅前の世界遺産の看板を目にし、興味がわいて訪れた。遺跡を見るのが好きだといい、「釜石は製鉄のまちというイメージはあったが、こんな場所があるとは。大島高任ら先人の技術はすごいですね。高炉の石の組み方とか見事です」と感心。カメラに収めながら、当時の操業に想像を巡らした。

 

 釜石の鉄の歴史と文化の継承、発信に取り組む、鉄のふるさと釜石創造事業実行委員会の大瀧粂夫会長は「再開を待っていた人も多いと思う。今年は無理かなと思っていたが、来る途中の道路も仮復旧し、最低限、遺跡を見られるような状態になって良かった」と喜び、「実際には来年春からが勝負。しっかりPRして、立て直さなければ」と世界遺産登録3年目の関係者の取り組み強化を願った。

 

 橋野鉄鉱山の一般公開エリア「高炉場跡」内は、川沿いの見学路や御日払所前の敷地の一部、三番高炉より下流域の種焼場全域が立ち入り禁止区域となっており、バリケードや土のう、ブルーシートで保護している。

 

 同鉄鉱山に続く県道釜石遠野線は釜石市橋野町中村から青ノ木間で片側交互通行になっている所があり、通行には十分な注意が必要。遠野市へ抜ける笛吹峠は全面通行止めとなっている。インフォセンターは12月18日まで、午前9時半から午後4時半まで開館。19日から来年3月末まで、冬季休業に入る。

 

(復興釜石新聞 2016年11月23日発行 第540号より)

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