失われた街並み 模型で再現、鵜住居・片岸地区〜ふるさとの記憶をたどる、28日までワークショップ

2016/09/29|カテゴリー:復興釜石新聞 防災・安全

細かく復元された模型を指さしながら学生に建物の名称などを教える住民たち

細かく復元された模型を指さしながら学生に建物の名称などを教える住民たち

 

 東日本大震災の津波で失われたまちを模型で復元する「記憶の街ワークショップin鵜住居」(鵜住居地区復興まちづくり協議会、神戸大震災復興支援プラットホーム主催)が、22日から釜石市鵜住居町の旧南三陸国道事務所大ホールで始まった。震災前の街並みを復元した白い模型に、訪れた住民に色を塗ってもらい、自宅や思い出の場所に旗を立ててもらい、記憶の街を再現。ワークショップは28日まで行われ、主催者は「街の記憶を残したい。皆さんの心に残るふるさとの思い出を聞かせてほしい」と参加を呼び掛ける。

 

 神戸大槻橋修研究室を中心に、全国の建築関連学生が連携して進める「失われた街」模型復元プロジェクトの取り組みの一つ。今回の鵜住居町、片岸町の模型は同研究室の学生らが製作した。両町内を24ブロックに分け、500分の1の縮尺模型(1メートル×1メートル)で再現。現地写真やグーグルの空撮画像、地図などから建物の高さや道路の位置など情報を集め、白い発泡スチロールで震災前の街並みを形作った。

 

 ワークショップでは、学生が住民から企業や商店、個人宅の名称、どんな思い出がある場所かなどを聞き取り、5色の半透明の旗に記入して模型に立てていく。「青」は家や店などの名称、「黄」は個人の思い出、「緑」は自然など環境、「赤」は震災の記憶、「紫」は祭りなど伝統や歴史に関わること。旗を色分けすることで、そこが住民にとってどんな場所だったかが、より分かりやすくなっている。

 

 「ここで買い物した」「こっから北は昔全部田んぼ。冬はスケートして遊んだ」「ここで小学校の解剖で使うカエルをとった」。復元模型を前に住民たちの声が弾む。自宅の模型を着色しながら「何回も自分で屋根の色塗ったな」とつぶやく人も。記憶を手繰りながら模型を作り上げていった。

 

 町内の仮設住宅で暮らす菊池章夫さん(69)は「記憶を呼び起こすことができて良かった。知っている人もいて、懐かしさもある。あれこれやりとりが楽しい」と、模型に次々と記憶をプラス。元の場所に自宅を再建する予定で、造成工事の完成を心待ちにする。「人が戻ってくるか」と不安もにじませた。

 

 神戸大工学部建築学科4年、槻橋研究室の岡実侑さん(22)は「模型があると思い出しやすいし、話も弾む。忘れていた記憶が呼び起こされて喜ぶ人たちを見て感動した。少しでも記憶を残す手伝いができれば」と話した。

 

 ワークショップの会場となる旧南三陸国道事務所は、ホーマック鵜住居店向かいにあるプレハブの建物。昼の部が午前10時~午後4時、夜の部は午後6時〜8時。最終日は昼の部のみ開く。参加は無料。24ブロックの模型は常時展示しており、自由に閲覧できる。

 

(復興釜石新聞 2016年9月24日発行 第523号より)

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