天神復興公営住宅完成 17日から入居開始
住民交流しやすいよう配慮された天神復興住宅
当初計画より1年10ヶ月遅れ
釜石市が天神町に建設を進めていた天神復興公営住宅が完成し、11日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。市が東部地区14カ所(430戸)に整備する復興公営住宅のうち3番目の完成。入札不調が続いたため、民間事業者が設計施工して市が買い取る「建物提案型買い取り方式」に切り替えて建設を進めたが、作業員不足や他地区の復興公営住宅の遅延の影響もあり、当初の計画よりも1年10カ月遅れの完成となった。52戸(1LDK21戸、2LDK31戸)全ての入居者が決まっており、17日から順次入居が始まる。
竣工式には工事関係者や地元住民代表など約30人が出席。神事を行ったあと、野田武則市長は「計画が二転三転し、入居希望者や地域の方々に大変な心配をかけた。一日千秋の思いで待ちわび、ようやく完成したという意味で思い入れのある住宅。今後の復興住宅や宅地整備も希望者の期待に応えられるよう取り組んでいきたい」とあいさつした。
完成を心待ちにしていた入居者らに公開した
旧釜石一中跡地に建設された同住宅は鉄骨造りで、延べ床面積は約4070平方メートル。5階建て2棟と4階建て1棟が並び、蛇行するように配置された縁側で各棟をつないだ。通路を兼ねた縁側とバルコニーの配置が階ごとに互い違いになっており、プライバシーを確保しながらも互いの気配を感じ、住民のコミュニケーションがとりやすいよう工夫。敷地内の広場には平屋建ての集会所も整備した。
同住宅は2012年11月、併設するこども園と合わせて東京の設計事務所の設計案が採用されたが、作業員不足や建設資材の高騰などの影響で建設工事の入札が3度も不調に終わった。このため市は、鉄筋コンクリート造りから、施工が簡単でコストも安い鉄骨づくりに計画を変更し、建物提案型買い取り方式を導入。大和ハウス工業岩手支店が施工し、市が14億2700万円で買い取った。
天神復興住宅の完成を喜ぶ関係者
やっと落ち付いた生活に
市内では復興住宅1314戸を整備する予定で、17番目の完成となった同住宅を含めると完成率は45%。本年度は1127戸、85%の完成を目指す。
完成した住宅は早速、入居する住民に公開された。近くにある天神町仮設住宅で暮らす住民の入居が多いとのことで、只越町で被災し5年ほど一人で仮設生活を送ってきた笠森ミキさん(87)も見学。「すてきだ。今まで4畳半の狭い中で寝ているのも起きているのも同じように過ごしてきたからね。広くて掃除するのが大変そうだ」と入居を心待ちにした。「避難生活も今考えれば楽しかった」と振り返るのは只越町のみなし仮設住宅で暮らす小田島凌一さん(76)。「やっと落ち着いた生活ができそう。ただ、交流がうまくいくか心配な部分もある」と話していた。
(復興釜石新聞 2016年6月15日発行 第495号より)
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