本格復興推進へ投資的経費70%〜16年度当初予算757億円(前年度比26.5%減)釜石市議会3月定例会で提案
施政方針を述べる野田市長
釜石市議会3月定例会は2月29日に開会し、2016年度一般会計当初予算案、15年度一般会計補正予算案など61議案を提出した。野田武則市長は「16年度は本格的な宅地の引き渡しや復興公営住宅の完成が集中する。加速する事業の進ちょく管理を徹底し、復興の歩みが実感できる年になるよう全力を傾けたい」などと施政方針を述べた。会期は3月17日までの18日間。一般質問は7日から4日間で、13氏が登壇する。
新年度の一般会計当初予算案は総額757億5400万円で、前年度当初と比べ26・5%減。16年度は復興まちづくり基本計画「中期」の最終年度と位置付けるが、事業の進展によって当初予算はピークを過ぎ、13年度当初以来3年ぶりに1千億円を下回った。このうち投資的経費は537億円で予算額の70・8%を占め、前年度当初比では30・7%減となったものの、本格復興推進のため積極予算とした。
一般会計予算のうち震災対応は580億円。震災対応の主な歳出では、鵜住居など10地区の復興公営住宅建設に121億円、土地区画整理に66億円、鵜住居や唐丹地区の学校建設に78億円、佐須や平田など6漁港の海岸施設復旧に35億円を計上。この4事業で300億円となり、震災対応予算の半分以上を占める。ラグビーワールドカップ(W杯)の競技場整備には5705万円を盛り込んだ。
震災対応以外の通常予算には、市土地開発公社が実施する用地の取得造成に対して費用の一部を助成し、用地分譲を円滑に進める工場用地取得支援事業に3億円、世界遺産登録を契機とした鉄の歴史館大規模改修事業に1億800万円、いわて国体開催事業に1億5600万円などを計上する。
さらに、子育て支援対策として、県下一斉に8月から就学前児童と妊産婦に対する窓口払いを軽減するのに加え、現在は小学生までを対象とする医療費助成を10月から中学生まで拡充する。
歳入は市税が41億4384万円(15年度当初比3・4%増)、地方交付税141億288万円(同41・3%減)、繰入金368億8545万円(同29・7%減)、市債28億8560万円(同1・8%増)など。
16年度末の市債残高は前年度比で9億7300万円、4・6%増の219億1400万円を見込む。住宅使用料で全額償還する公営住宅債が大きく、野田市長は施政方針で「これを除くと市債発行額は元金償還額の75・7%まで抑制され、財政の硬直化は緩和される」と見通しを示した。
15年度一般会計補正予算案は災害公営住宅建設事業のずれ込みなどで48億5200万円減額し、累計1049億1800万円とした。
(復興釜石新聞 2016年3月5日発行 第467号より)
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