「釜石からの手紙」今年も〜大切な人へ感謝の思いを届けよう、オリジナルデザイン 3枚セットで販売


2016/02/22
復興釜石新聞アーカイブ #地域

3回目の「釜石からの手紙」プロジェクトへの参加を呼びかける鹿島委員長

3回目の「釜石からの手紙」プロジェクトへの参加を呼びかける鹿島委員長

 

 東日本大震災から5年となる「今」の思いを絵はがきで届けよう――。釜石市で、3月11日の消印が押されたはがきを大切な人に送るプロジェクトが今年も行われている。「釜石からの手紙」実行委(鹿島卓弥委員長)が主催し、釜石にちなんだオリジナルデザインのはがきを製作、販売している。「この機会に、さまざまな支援で世話になった人、離れて暮らす家族や友人、大切な『あの人』に感謝やまちの現状、震災後の変化、なかなか言葉にできない素直な気持ちをつづって届けてみませんか」と呼びかける。

 

 はがきは3枚1セット。今回初めて1枚のデザインを公募した。市内外から18点の応募があり、釜石市在住の山端寛人さんの写真「過去、今、そして未来へ」を選んだ。24時間稼働し続ける製鉄所、震災後にできた大型商業施設、復興工事が進むまちの夜景をとらえた作品で、鹿島委員長は「釜石の象徴、変わりゆくまちの途中経過を見ることができ、今の釜石の姿が伝わる」と話す。

 

販売する3種類の絵はがきとプロジェクトのロゴマーク

販売する3種類の絵はがきとプロジェクトのロゴマーク

 

 東京都内の都市計画コンサルト会社に勤める山端さんは復興業務を担当するため釜石に転居。日々の仕事をこなしつつ、復興現場の写真を撮り続けている。同プロジェクトに参加し「工事によって失われるもの、生み出されるものがあり、両方が混在しているのは今しかない」と、変わり続ける風景を記録に残す思いを強めているという。

 

 ほかのデザインは釜石にゆかりのある2人が担当した。市内の子育て支援団体「かまめっちょの会」代表の黍原里枝さんは身近にある自然や文化など釜石の魅力を散りばめた作品で、優しい色調が特徴。支援のため釜石に通った経験があるという盛岡市のデザイン事務所「マルツ工房」代表の吉田つとむさんは龍のような虎舞を描き、「逆境に負けずに昇っていく」と未来への希望を込めた。

 

 切手を貼り、10日までに専用ポストに投函(とうかん)すると、「(平成)27・3・11」付の釜石の風景消印が押されたはがきが届く仕組み。はがきセットは270円(税込み)で、1500セットを用意した。釜石観光物産協会、釜石情報交流センター、玉泉堂、さわや書店、ローソン(駅前店・上中島店・鵜住居町店・平田店)などで販売している。

 

 専用ポストへの投函は26日から。各販売場所のほか、市内8カ所の生活応援センターなどにも設置している。

 

 同プロジェクトは3年目。これまでに約6600枚が投函され、国内外に郵送された。公式サイト(https://kamaishi-tegami.net)には、はがきの行き先が表示される「届いたよマップ」があり、はがきを受け取った人がコメントや写真を寄せている。「釜石の皆さんの想いが、一枚のはがきに乗ってきたような気がしてとても嬉しくなりました」。そんなはがきがつないだ思いを見ることができる。

 

 鹿島委員長は「近況や思いを伝えたい人がいると思う。伝えたい思いを考える時間も大事で、はがきがそのきっかけになれば」と期待する。

 

 はがきの販売場所や専用ポストの設置場所など問い合わせは、同実行委(電話0193・55・6722)へ。

 

(復興釜石新聞 2016年2月17日発行 第462号より)

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