釜石市民芸文祭50周年〜芸術・文化の灯絶やさず、19団体 多彩に展示・発表


2020/11/27
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

コロナ対策をして芸術の秋を楽しんだ今年の芸文祭

コロナ対策をして芸術の秋を楽しんだ今年の芸文祭

 

 釜石の芸術文化の灯を絶やさず、未来へつなごう―。第50回釜石市民芸術文化祭(市・市芸術文化協会主催)は13日から15日まで、大町の市民ホールTETTOで開かれた。長引く新型コロナウイルス感染症の影響で開催が危ぶまれたが、協会員の継続への熱意で実現にこぎつけた。春から活動制限や発表会中止などを余儀なくされてきた各団体は貴重な成果発表の場で躍動。来場者は素晴らしい作品や舞台を堪能し、コロナ下で疲弊する心を癒やした。

 

 14日の開会セレモニーで芸文協(32団体、540人)の河東眞澄会長は「(市民が受け継ぐ)芸術文化のレガシーを何とか守りたいと会員から強い要望が出た。釜石の文化創造のさらなる発展へ市民一丸となって歩みたい」とあいさつ。同祭と歴史を同じくする協会の結成50周年を記念し、11人を表彰した。芸文協前会長で、2017年9月に逝去した岩切潤さんを特別表彰。各団体で貢献してきた10人を功労者表彰でたたえた。

 

 04年から会長を務めた岩切さんは、さまざまな文化行事に足を運び、活動する市民を激励。東日本大震災があった11年にも芸文祭実現に尽力し、その後も芸術文化の力で復興を後押ししてきた。表彰状を受け取った妻久仁さん(77)は「『コロナでもよく頑張った』と、今日も見守っていると思う。後を引き継いでいる皆さんにエールを送りたい。今も多くの方が(夫のことを)覚えていてくださり、感謝でいっぱい」と目を潤ませた。

 

 展示部門には協会加盟の13団体が参加。コロナによる活動自粛などで出品がかなわなかった団体もあり、例年より少ない参加数となったが、絵画や水墨画、写真、生け花、ステンドグラスなど各分野の力作が並んだ。

 

 釜石郵趣会は、切手収集を趣味とする仲間が集い、同祭でその魅力を発信している。収集歴約60年の菅原照男さん(82)は、釜石が発祥の近代製鉄100年記念の切手(1957年発行)や国体記念切手、刺しゅうはがきなど自慢のコレクションを公開。「芸文祭は年に一度、皆さんに見てもらえる機会。今年も開催されて良かった」と喜んだ。

 

 新企画も注目を集めた。展示では本年度の県小・中学校新聞コンクールで上位入賞を果たした市内校の壁新聞や個人新聞、公民館の自主グループによる作品などを公開。体験コーナーでは色鉛筆画、ちぎり絵、切り絵、折り紙、エコたわし・お手玉作りが行われ、来場者が手作りの面白さを味わった。

 

 大只越町の山田知世さん(36)は毛糸を編んで作るエコたわしに挑戦。「これを機に編み物もやってみようかな。芸文祭は毎年来ている。市民が集い、いろいろな経験ができる場はとてもいい」と笑顔を見せた。

 

 ステージでは協会加盟の4団体と賛助出演の2団体がバレエ、エアロビックダンス、歌や舞踊を披露。大船渡市から招かれた「チンドン寺町一座」は疫病退散への願いを込めて、にぎやかな舞台を繰り広げた。

 

 同祭は1970年に開催された岩手国体を盛り上げようと始まり、今では市内最大の文化の祭典として市民に愛されている。

 

50周年功労表彰受賞者

 

50周年功労表彰受賞者

 

岩切潤(故人、芸文協前会長)、村上マサ子(釜石草月会)、高橋伊緒(釜石ユネスココーラス)、久保雅美栄(岩手三曲協会釜石支部)、木村睦子(琴城流大正琴白百合会)、種市圭子(釜石市合唱協会)、佐々木英雄(釜石書道協会)、西田弘(釜石市民絵画教室)、千坂誠久(釜石郵趣会)、遠藤顕一(釜石写光クラブ)、山崎隆男(故人、釜石芸能連合会)

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