「橋野鉄鉱山」で特別展示、高炉の遺物公開〜世界遺産登録5周年を記念、8月17日まで

復興釜石新聞2020/07/27

世界遺産登録までの歩みを再確認できる展示コーナー

世界遺産登録までの歩みを再確認できる展示コーナー

 

 釜石市橋野町の橋野鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産」(8県11市23資産)は、世界遺産登録から今年で5周年。これを記念し、同町青ノ木の橋野鉄鉱山インフォメーションセンターでは3日から、登録関連の資料や高炉跡から出土した遺物を公開する特別展示が始まった。8月17日まで行われる。

 
 会場には同鉄鉱山の操業から今日までの歩みを年表と写真で示したパネル、世界遺産推薦書、登録記念誌(市、ユネスコ発行)のほか、記念販売された貨幣セット、プルーフメダル、オリジナルフレーム切手を展示。世界遺産登録の経緯を改めて紹介している。

 

 遺物は、昨年の二番高炉周辺の発掘調査で出土したものを含め13種類を展示。高炉やフイゴの一部、生産された鉄を原料に作られた銭や角釘(くぎ)、鎹(かすがい)など同所の鉄産業を物語る出土品が並ぶ。

 

 「チキリ」と呼ばれる蝶(ちょう)形の鉄製金具は、高炉の石組み(花こう岩)がずれて崩れないよう、隣り合う石にへこみを施し、はめ込んだもの。二番、三番高炉では実際にはめ込まれた状態で残る部分もあり、今も見ることができる。高炉建設時に鉄製品が使われていることから、地域で先行していた〝たたら製鉄〟の産物との見方も有力。

 

 高炉の構築物としては他に、炉体内部などに据えられた耐火煉瓦(れんが)も。良質の粘土が取れる花巻市台温泉周辺で焼かれたものが高炉の材料になっているという。

 

 二股のかぎ形状の鉄製工具は、炉底にたまった不純物などをかき出すのに使われたと見られ、柄の装着部らしき穴も確認できる。銭竿(ぜにざお)は銭の鋳造時に、溶かした鉄を鋳型に流す湯道が冷えて固まった部分。展示では銭竿と銭を並べ、鋳造の仕組みを説明している。

 

 「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、日本が幕末から明治期にかけ、非西洋地域で初めて重工業分野の急速な近代化を成し遂げた歴史的価値が認められたもので、2015年7月の世界遺産委員会で世界文化遺産への登録が決定。橋野鉄鉱山は、「近代製鉄の父」と呼ばれる大島高任が築いた洋式高炉跡(現存最古)、採掘場跡、運搬炉跡が残る場所で、同構成資産の一つに位置づけられている。

 

 登録から5年を迎え、市世界遺産課では「台風被害などもあったが、見学者数は大きく落ち込むことなく推移してきた。今後も発掘調査などで詳細を解明しながら、遺跡の保存や見学者誘致に努めていきたい」と話す。

 

(復興釜石新聞 2020年7月18日発行 第895号より)

 

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