グリーンベルト通行可能に〜東部地区の避難路完成、平時は遊歩道の利用想定
市東部地区に完成した避難路。散歩などで利用する人の姿が見られる
釜石市が東部地区に整備を進めてきた避難路(通称・グリーンベルト)が完成し、1日から通行可能となった。堤状に盛り土して造っており、災害発生時に港湾利用者らが市街地の高台に安全に、そして最短で避難できる施設。市街地への浸水を抑える効果も期待され、湾口防波堤、防潮堤と合わせ多重防災型まちづくりの一端を担う。平時は遊歩道としての利用も想定。散歩などを楽しむ人たちの姿が見られる。
港町の釜石港湾事務所付近と、浜町の市営釜石ビル前の交差点付近を結ぶ。延長約750㍍。緑地が続く盛り土部分と橋(デッキ)や擁壁などの構造物から成り、標高8~12メートルを確保する。市道などからの上り口として階段6カ所、スロープ5カ所が設けられ、高台の緊急避難場所(浜町避難道路)まで安全に逃げることができる。
堤防の役割を果たす門戸「陸閘(りっこう)」(2カ所)も避難路の一部。国道45号高架橋の下にあるこの陸閘は通常時、車両などの通行を確保するため開いているが、津波警報発令時には閉じられ、只越町~嬉石町間で車両通行ができなくなる。
国道45号高架橋の下にある陸閘も避難路の一部
2013年度に整備を始め、今年の3月中旬に陸閘の遠隔操作による開閉点検を行って19年度末に完成となった。総事業費は約53億円。国の社会資本整備総合交付金などを活用し、市の持ち出しは約7900万円。
当初、18年秋の事業完了を目指していたが、盛り土して造るため地盤沈下への対策と、それに伴う不発弾調査などが必要となったことから、工期が約1年半延びた。市都市整備推進室の本間良春室長は「工事の遅れがあったが、やっと完成。住民の避難行動を守る要素を一つ加えることができた。平時は遊歩道のように利用してもらい、親しまれる施設になれば」と期待する。
一般利用が始まったグリーンベルトの港町・海側の入り口
今、日本を含め世界中の人たちを悩ませているのは新型コロナウイルスの感染拡大。県内ではいまだ感染者が確認されていないが、さまざまな方面で自粛ムードが広がる。
感染拡大に注意を払う必要はあるが、迎えた春は暖かな陽気に誘われ外出する機会が増える季節。自然の風に触れる散歩は体にいいし、頭のリフレッシュにもなる。
このグリーンベルト、歩けば片道約10分。家族や友人…誰かと一緒に歩けば、家の中、普段とは違う会話もでき、変化のある時間が過ごせる。
(復興釜石新聞 2020年4月15日発行 第884号より)
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