災害に強いまち提案 避難意識が命を守る、鵜住居小学習発表〜防災文化の広がりに期待、台風19号の教訓も生かす


2020/02/12
復興釜石新聞アーカイブ #防災・安全

1年間の防災学習の集大成として命を守る取り組みを提案する児童

1年間の防災学習の集大成として命を守る取り組みを提案する児童

 

 鵜住居小(中軽米利夫校長、児童158人)の6年生36人による防災学習発表会は1月31日、釜石市鵜住居町のいのちをつなぐ未来館で開かれた。「みんなの命を守ることができる町にしよう」をテーマに、1年間進めてきた学びの成果を披露。東日本大震災や台風19号の教訓を生かした、災害に強いまちづくりへの取り組みを提案した。

 

 僕たちの話を聞いてください。私たちの描いた未来の姿はこれです―。地域住民、市関係者ら約60人を前に訴える児童。▽災害からの避難▽気象災害▽防災意識の課題―の3つの視点について、7グループが他県の取り組み事例や学びから得た地域の課題と解決のためのアイデアを示した。

 

 「一人一人が避難訓練に『参加しよう』という意識があるまち」を思い描いたグループは、大阪府堺市で行われている大声コンテストや防災脱出ゲームを事例として紹介。「もし津波が来たら大きな声で『逃げろ!』と伝えられるようになる」「クイズやゲームをしながら身の守り方や非常時持ち出し品など防災知識を学ぶことができる」「子どもからお年寄りまで楽しみながら参加してもらえる」と利点を説明した。

 

 これを受け、避難訓練を行う際はポスターで呼び掛けるとともに、イベントの開催を提案。「避難訓練に参加する意識があれば命は守れる」と強調した。
 このほか、自由に持ち出せる土のうの保管場所の設置などの対策、会員制交流サイト(SNS)やアプリを通じた情報発信の強化など命を守るための取り組みといった提案もあった。

 

 この発表会は、6年生の国語「町の未来をえがこう」と総合的な学習「鵜住居の防災を広げよう」をまとめた学びの集大成。テーマについて子どもの視点で考え、発信することで、まちの未来を主体的に考える人材の育成につながると実践した。

 

 武田愛美さん、植田弥桜(みお)さんのグループは「避難所のプライベートを確保するためにテントを導入する」などと提案した。武田さんは「伝えたい気持ちで頑張った結果をしっかり届けることができた」と満足げ。将来、同館で働きたいと夢を思い描く植田さんは「釜石が大好き。ここで起こったことを知らない人に伝えられるよう、これからも防災を学び続けたい」と意欲を見せた。

 

 発表を聞いた住民らは「初めて聞く知識、知る取り組みがあった」「互いに学び合う姿勢を大切にしたい」などと子どもたちに刺激を受けた様子だった。

 

 児童の取り組みを見守った片山直人教諭は「子どもたちの活動に触れ、考えを理解し、発信を受け止め、大人はどうするか、考えるきっかけになれば。防災文化の広がり、定着につながる取り組みになれば」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2020年2月5日発行 第864号より)

 

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