手作りすべり台に完成、遊具に子どもらの夢乗せて〜栗林町の遊び場 くりりんのもり
大人も子どもも協力し合い、素敵なすべり台を完成させた
釜石市栗林町道々地区に2014年に整備された森の遊び場「くりりんのもり」で7、8の両日、新たな遊具を作る活動が行われた。子どもたちの意見で決まった設置遊具は、すべり台。地域の小学生や大人、大学生ボランティアらが協力し、手作りの木製すべり台を完成させた。
この活動は、市生涯学習文化スポーツ課の委託を受け、同町の仮設住宅団地内で放課後子ども教室を開く一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校(さんつな、伊藤聡代表理事)が主催。同教室の特別編として実施した。
遊び場は、震災後、公園や空き地に仮設住宅が建ち、子どもたちが安全にのびのびと遊べる場所が少なくなったことを背景に、同法人が地域住民と協働で整備した。なだらかな斜面にクリやクルミの木が立ち並ぶ広い土地を所有者が厚意で開放し、自生する樹木にロープやハンモック、ブランコなどを取り付けた手作り遊具を設置。同教室の活動やイベント、地域の子どもたちの日常の遊び場として利用されてきた。
開設から5年が経過する中、劣化などで壊れた一部遊具を撤去。当時のワクワク感、安全な遊び場を取り戻そうと、今年から子どもたちも参加しての遊具作りに着手することになった。7月7日に地元の栗林小児童と、どんな場所にしたいか、どんな遊具が欲しいか話し合い。出された意見を集約し、今回はすべり台を作ることになった。
宮城県名取市を拠点に冒険遊び場作りの指導、普及にあたる一般社団法人プレーワーカーズの廣川和紀理事をアドバイザーに迎え、遊具製作に挑戦。初日は小学生を中心に約30人が参加し、材料となる木材に防腐塗料を塗ったり、ノコギリやノミで角材を加工したりと下準備を行った。
子どもたちは塗料塗りに真剣な表情
栗林小2年の菊池理央さんは、この遊び場がお気に入り。「知らない子ともすぐ仲良くなれる」と、心を開放できる自然空間の魅力を示し、作業に汗を流した。「完成が楽しみ。すべり台ができたらいっぱい遊びに来たい。他にボルダリングの壁も作れたらいいな」と夢を描いた。
2日目は地域の大人8人も協力し組み立て作業。長さ約4メートル、横幅約2メートルのすべり台を作り上げた。
さんつなスタッフの柏﨑未来さん(34)は「子どもたちからは秘密基地やターザンロープなどさまざまな案が出ている。今後、一つずつ実現していければ。遊具製作を手伝ってくれる大人には子どもたちの遊ぶ姿を見ることで、共に愛着を持ってもらえたら」と話す。
この場所は自然資源が豊富で、四季折々の遊び方が可能。手作り遊具とともに子どもたちの成長を後押しする要素が詰まっており、今後の進化にも期待が高まる。
(復興釜石新聞 2019年9月11日発行 第823号より)
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