貝画で伝える「ありがとう」〜鵜住居スタジアムを壁画で飾る、市内小中学生らの力結集
感謝の気持ちが詰まった壁画を背に思いを発信する生徒ら
縦2・5メートル、横12メートル。ひときわ目を引くモザイクアート(巨大壁画)「ありがとう貝画」が、ラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場となる釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムに出現した。バックスタンド東側サイドを飾る壁画には、三陸産ホタテやアカザラガイの貝殻約6千枚を活用。市内の小中学生らの力を結集し、アートでW杯を盛り上げようと製作された。
企画したのは、市内の小中学校全14校の児童生徒の代表者による「かまいし絆会議」で、子どもが主役のW杯盛り上げを目的に2017年8月に始動した。加えて、東日本大震災からの復興に取り組む姿を国内外に伝える「三陸防災復興プロジェクト」の一環として実施。今年に入ってから、復興支援への感謝の気持ちを伝える壁画と歌の製作に本格的に取り組んできた。
子どもたちの思いを散りばめた壁画は、大漁旗がモチーフ。郷土芸能の虎舞、未来に向けて進んでいくSL銀河、まちを見守る釜石大観音などをデザインし、ありがとうの文字と「キズナ」との隠れ文字が入っている。
貝殻は各学校に振り分け、赤や青、黄などの塗料で色付け。2千人余りの児童生徒が作業に取り組んだ。色塗りされた貝殻を貼り付ける作業は3月に実施。市内で製作イベントを開き、参加した市民ら約130人が仕上げた。
9日に同スタジアムで開かれた除幕式で、同会議を代表し壁画専門部会の矢内舞さん(唐丹中3年)があいさつ。「一つ一つ思いを込めて色を塗り、他の学校と協力して作り上げた。釜石の明るい未来の実現になれば」と思いを発信した。
小林結愛さん(釜石東中3年)は想像以上の出来栄えに感動。「釜石の魅力がいっぱい詰まっている。良さをたっぷり味わってほしい」とW杯盛り上げに一役買う取り組みに充実感をにじませた。
出席した同会議代表の中学生10人は、感謝の歌「ありがとうの手紙」も披露。各学校からフレーズを募り、専門家の助言を得ながら曲に仕上げられた。
(復興釜石新聞 2019年6月12日発行 第798号より)
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