酒造り 田植えで理解、県内外から過去最高110人参加


2015/06/02
復興釜石新聞アーカイブ #産業・経済

酒造りのスタートとなる田植えに精を出す参加者
酒造りのスタートとなる田植えに精を出す参加者

 

 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)が一般向けに開く「酒造り体験塾」が今年も始まった。5月31日、第1弾の田植え体験会が大槌町で開かれ、過去最高の約110人が参加。泥田での慣れない作業に汗を流しながら、酒米作りに理解を深めた。

 

 体験会場は、同社に岩手県オリジナルの酒米「吟ぎんが」を提供している大槌酒米研究会(8人)の佐々木重吾会長(58)の田んぼ。田植え神事の後、合わせて約15㌃の田んぼ2面に参加者が分かれ、1列になって苗を植えた。ロープの印を目安に、約15㌢に成長した苗を5本ぐらいずつ手植えした。

 

 今年は、遠くは宮城、秋田県から参加者が集まった。釜石市からはボーイスカウト釜石第2団の団員と保護者ら約30人が初参加。同団の高木海里君(釜石小5年)は2時間弱の作業を終え、「まだ腰が痛い。泥に足が埋まって大変だったけど楽しかった。収穫もやってみたい」とさわやかな表情を見せた。

 

 同団と一緒に夫婦で参加した、米国出身で上平田在住のコービ・ワイン・ホーフさん(32)は、震災復興支援で3年前に釜石に来たNPO職員。「お米は日本の基本。浜千鳥の酒も飲んだことがあり、酒造りにも興味がある。田植えは初めて。一番面白いのは泥の感触」と日本の伝統文化を満喫していた。

 

大槌町の農家、着々増産

 

 同社が大槌産の酒米で酒造りを始めて13年目。研究会の作付面積は順調に増え、今年は約15ヘクタールにまで拡大した。20ヘクタールになれば、佐々木会長の地元集落の田んぼの半分近くが酒米栽培になる勢いだという。

 

田植えの記念写真は塾参加者が最後に手にする酒のラベルになる
田植えの記念写真は塾参加者が最後に手にする酒のラベルになる

 

 米生産量の増加に伴い、大槌産吟ぎんがで仕込む酒の種類、醸造量も増加。昨年秋のロンドン酒チャレンジでは純米大吟醸で金賞、5月22日に発表された南部杜氏協会の今年の鑑評会では純米酒の部で2位(出品数約150)を獲得するなど、大槌の米で造った酒が高い評価を受けている。杜氏の力が試される同鑑評会で上位5位に入るのは至難の業で、2位は同社にとって平成の初頭以来25,6年ぶりの快挙だという。こうした動きに佐々木会長は「ありがたいこと。(会社も農家も)互いに励みになれば」と喜ぶ。

 

 同社が使う吟ぎんがの中で大槌産は約9割を占めるようになった。新里社長は「研究会の皆さんからは非常に品質のいい酒米を提供していただいている」と感謝。体験塾の意義について「米造りから一連の流れを体験してもらうことで、〝自分たちの酒〟という気持ちが生まれ、ファンづくりにもつながっている」と話した。体験塾の第2弾は稲刈りで、例年並みに推移すれば9月下旬に収穫する。

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