笑顔で「病気の子にあげる」〜生まれて初めて髪を切る

復興釜石新聞2019/04/04

初めてのヘアカットを家族が見守った

初めてのヘアカットを家族が見守った

 

 病気やけがなどで頭髪を失った18歳未満の子どもに髪を提供する活動「ヘアドネーション」のため、釜石市大只越町の和田起太朗ちゃん(6)が26日、市内の美容室で「断髪式」に臨んだ。生まれてから一度も髪の毛を切ったことがなく、美容室も初体験。母美穂さん(44)ら家族が見守る中、膝下まであった長い髪をばっさり。未経験の短髪姿をはにかみながら鏡で見た起太朗ちゃんは「かっこよくなった。うれしい。切った髪は病気の子にあげる」と明るい笑顔を見せた。

 

 起太朗ちゃんは3人兄弟の末っ子。美穂さんの「お腹のなかにいた時からのつながりを残しておきたい」との思いから髪を伸ばし続けてきた。そのつながりは美穂さんにとって普段の家事をこなす意欲になり、5年ほど前に乳がんが見つかった時の治療への力にもなっていたという。

 

 4月から小学校に入学するのを機にそろそろ切ろうかと、昨年秋ごろから考えてきた美穂さん。その際、インターネットでたまたまヘアドネーションを知り、「どうせ切るなら人のためになるものがいい」と提案した。

 

 起太朗ちゃんには動画などで取り組みを伝えた。「病気のお友達にあげたらどう思う?」と問い掛けると、「この子にあげる。喜ぶと思う」と答えが返ってきて納得した様子。美穂さんも「やってみよう」と心を決めた。

 

ばっさり切った髪の毛を手にする和田起太朗ちゃん

ばっさり切った髪の毛を手にする和田起太朗ちゃん

 

 断髪式は、これまでもヘアドネーションを手掛けている大町の美容室「VIVA」で行った。初めての体験にもかかわらず、起太朗ちゃんには緊張した様子は一切なし。自身もヘアドネーションを行った経験がある片桐浩一代表(49)がカットを担当した。

 

 6年間、毎日長い髪を結んだり、洗ったりしてケアしてきた美穂さんは「普段と同じことをやってもらっている感覚だね」と成長に頼もしさを感じるとともに、伸びた髪が短くなる様子を感慨深げに見守った。約60センチ切って短髪になった起太朗ちゃんは、美穂さんら家族の「かっこいいねー」との声にはにかみつつ、晴れやかな表情だった。

 

 片桐代表はこれまで協力者のカットを10件ほど手掛けたが、就学前の子どもは初めて。「小さな子どもの髪は貴重。取り組みが少しずつ広がってくれるとうれしい」と話す。髪は大阪市の会社に送られ、医療用のかつらとして活用される。

 

 美穂さんは「これまでの日常がなくなるという寂しさもあるが、新しいスタートだと実感。今は理解できないかもしれないが、直接手を貸さなくても誰かを助けられることを覚えていてほしい」と目を細めた。

 

(復興釜石新聞 2019年3月30日発行 第778号より)

 

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