鵜住居駅公共施設 完成間近「うのすまい・トモス」震災の教訓、復興を広く発信〜「釜石祈りのパーク」3月11日オープン


2019/02/16
復興釜石新聞アーカイブ #地域

3月11日のオープンに向けて仕上げの工事が進む「祈りのパーク」

3月11日のオープンに向けて仕上げの工事が進む「祈りのパーク」

 

 釜石市が鵜住居町の鵜住居駅前周辺に整備を進めている公共施設は、間もなく完成を迎える。8月に完成予定の市民体育館なども含めた駅前全体の愛称は「うのすまい・トモス」。津波で多数の犠牲者を出した鵜住居地区防災センター跡地にできる追悼施設「釜石祈りのパーク」は、東日本大震災から8年となる3月11日に慰霊碑の芳名板への献花式、防災市民憲章などの除幕式を行う。この日は、津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」と観光交流拠点施設「鵜の郷(うのさと)交流館」をともに一般公開。両館は、三陸鉄道リアス線の開通に合わせて同23日に開館を予定する。

 

うのすまいトモス

 

 「うのすまい・トモス」という愛称には、復興の明かりを「灯(とも)す」という意味とともに、「共」「友」という意味も重ねた。公募の結果、秋田県大仙市藤沢まゆさんの案が採用された。

 

 敷地面積は約2万5千平方メートル。国内外に震災の教訓を伝えるとともに、今年秋に開催されるラグビーワールドカップ(W杯)に向けて建設された釜石鵜住居復興スタジアムと併せ、国内外から寄せられた復興支援への感謝の気持ちと、悲劇が繰り返されないまちづくりを広く発信する。

 

 このうち震災犠牲者を慰霊、追悼し、生きることの大切さ、素晴らしさを感じる場として整備する「祈りのパーク」は約4900平方メートル。パークの中には、震災犠牲者の芳名板・献花台を備えた慰霊碑のほか、震災の津波の高さを示すモニュメント、釜石市防災市民憲章碑を設ける。

 

 震災犠牲者を示す芳名プレート(3センチ×15センチ)には、行方不明者を含む市内の犠牲者1064人のうち遺族の意思確認調査などを経た998人の氏名を記す。

 

 防災市民憲章は検討委員会を経て、昨年9月の市議会で可決。3月11日に正式に制定される。憲章碑には「私たちは生きる。かけがえのないふるさと釜石に、共に生きる」と後世に継承する市民総意の誓いを掲げ、「備える」「逃げる」「戻らない」「語り継ぐ」の4つの教訓を刻む。

 

 中央の慰霊の場には階段で結び、ロータリーの形の緩やかなスロープに沿ってパーク内を巡ることもできる。スロープの脇には、震災で多くの人が犠牲になった鵜住居地区防災センター跡地を示す碑も設ける。碑には「偲いを永久に」とのメッセージを刻む。

 

 パークを囲む形の土盛りの上にはサクラが植樹され、震災に思いを寄せる散策路となる。

 

(復興釜石新聞 2019年2月9日発行 第764号より)

 

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