「鉄のまち」復興と発展の願い込め、南部鉄器寄贈〜釜石産餅鉄を原料に製造、いわてたたら研究会

復興釜石新聞2018/12/11

 釜石の鉄鉱石から生まれた鉄瓶が田山さん(右)から野田市長へ

釜石の鉄鉱石から生まれた鉄瓶が田山さん(右)から野田市長へ

 

 「いわてたたら研究会」(田山和康会長、事務局・岩手県工業技術センター)は「鉄の記念日」の1日、釜石産の鉄鉱石、餅鉄(べいてつ)を原料とした南部鉄瓶を釜石市に寄贈した。この日、情報交流センター釜石PITで開かれた鉄の学習会の会場に田山会長(68)が足を運び、野田武則市長に手渡した。田山会長は「鉄のまちの復興と発展を願って造った。多くの人に見て楽しんでいただきたい」と期待した。市は、この鉄瓶を鉄の歴史館に展示、公開する予定だ。

 

 たたら製鉄は日本古来の製鉄方法で、木炭を燃料に砂鉄などが含まれる酸化鉄を還元して鉄を造る技術。手間と時間はかかるが、低温で還元することにより不純物の少ない鉄が得られる。

 

 鉄瓶の材料のけら(鉄)は、同研究会の初代会長中川淳さん(函館市在住)の指導で、市鉄の歴史館のたたら製鉄体験会で造ったもの。橋野町の沢桧川で採取した餅鉄を原料に簡易高炉で造り、3年分のけらを鉄瓶の製造に充てた。

 

 けらは岩手大学鋳造技術研究センターで精錬(鋳塊作製)。再溶解と成分調整は県工業技術センターが引き受け、田山会長に託された。

 

 田山会長は滝沢市に南部鉄器の田山鐵瓶工房を開く。南部鉄器は経済産業大臣指定の伝統的工芸品で、田山さんは南部鉄器伝統工芸士会の会長も務める。

 

 完成した作品は「釜石産餅鉄製 桜紋布団形鉄瓶」と名付けられた。重さ約1・6キロ、有効容量は1・6リットル。胴、蓋(ふた)一面に桜の花が散りばめられた。彩色はなく、光を受けて日本刀と同じように鈍色(にびいろ)の輝きを放つ。

 

 田山会長によると、鋳型の桜紋は花弁の一つ一つを3日間かけて造形、完成まで1カ月を要した。「胴と蓋が触れ、こすれる時に鳴る(金属音の)余韻がすばらしい。自分の作品の中でも1、2位ではないか」と、会心の作をなでた。

 

 たたら製鉄体験会は甲子中、栗林小、新日鉄住金釜石製鉄所などでも繰り返し行われている。田山会長は「けらを造った子どもたちに、ウエートなど小さな物を贈ることもできる」と思いを膨らませる。

 

(復興釜石新聞 2018年12月5日発行 第746号より)

 

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