釜石から能登へ― 安全に通学を! 新入学児童にトラキーホルダー トラ作りの会が2年目の贈呈

能登半島地震被災地の新入学児童に虎舞を模したキーホルダーを贈った「釜石トラ作りの会」。平田公民館で活動中
能登半島地震発生から間もなく2年3カ月。東日本大震災で被災した釜石市平田の市民グループ、釜石トラ作りの会(前川かな代表、7人)は、同地震被災地の新入学児童の交通安全を願い、郷土芸能“虎舞”をモチーフにした手作りキーホルダーを3市町の小学校に贈った。「復興を進める大人たちの力の源は子どもたちの笑顔。元気に学校に通ってほしい―」。15年前の震災を経験したメンバーらが能登の早期復興への思いを届ける。
黄色のクラフトテープを編んで作るトラキーホルダーは、同会メンバーが考案したオリジナルデザイン。モチーフの虎舞は、「虎は千里行って千里帰る」という故事にあやかり、漁業が盛んな三陸地方で漁師らの無事帰還を願って踊り継がれてきた芸能で、同震災後は復興に向かう市民に大きな力を与えてきた。黄色は交通安全のシンボルカラーでもあり、新入学児童が安全に通学し、無事に帰宅してほしいとの願いを込める。

交通安全のお守りにと、会員が考案した「トラキーホルダー」
能登半島地震の被災小学校への寄贈は昨年に続き2回目。今年は輪島市、能登町に加え、珠洲市への贈呈が決まり、3市町の14校に今春入学する児童95人分のキーホルダーを贈ることになった。キーホルダーには「入学おめでとう 交通安全に気をつけてね!」というメッセージカードが添えられている。
会の意向をくみ能登との橋渡しをしたのは、輪島市の民間ボランティアセンター「RQ能登」でコーディネーターとして活動する釜石市の伊藤聡さん(46)=さんつな代表=。今月2日、会から託されたキーホルダーを3市町の教委や学校に届けた。被災の影響で中学校の校舎を間借りして学校生活を送ってきた輪島市の門前東小、門前西小両校は、新年度から小中一貫校「門前学園」としてスタートする。両校の宮本久美子校長は「同じ被災を受けた釜石からの支援は心強い。子どもたちは全国から応援をいただき、今度は自分たちから何か行動しようという気持ちが芽生えるだろう」と感謝。同学園の新1年生は15人。「いただいた交通安全の思いを受け止め、気をつけて通学してほしい」と願った。

輪島市の門前東、門前西小(新年度から門前学園)にキーホルダーを届けた伊藤聡さん(左)。両校の宮本久美子校長(右)が受け取った=写真提供:伊藤さん

初の贈呈となる珠洲市の8校31人分は同市教委にお届け。河﨑裕子学校教育係長(右)は「新1年生の安全を願う気持ち、釜石とのご縁をいただき、大変ありがたい」と感謝した=写真提供:伊藤さん
釜石トラ作りの会は、震災で被災した同市平田地区の住民が立ち上げた。仮設住宅入居時に集会所のサロン活動でクラフトテープによるものづくりを覚え、7年ほど前から“トラキーホルダー”の制作を開始。近隣小学校の新入学児童に贈ってきた。今年は初めて市立小全9校(入学児童111人)への贈呈も実現した。初期メンバーの一人、松坂康子さん(87)は「自分たちが作ったものを子どもたちが持ってくれるのはうれしい。地域貢献や被災地支援にもつながっているのは最高の喜び」と声を弾ませる。

釜石トラ作りの会の前川かな代表(中)は目標だった釜石市の全小学校への寄贈実現に「夢がかなった。みんなの頑張りのおかげ」

キーホルダーにはお祝いのメッセージカードが添えられる
2年目となった能登支援について前川代表(61)は「私たちもいろいろな支援に助けられ、ここまでくることができた。何かの形で恩返しできればとの思いから始めた活動。現地に行くのは難しいが、せめてこういうものに思いを乗せてお礼の気持ちを伝えられたら」と話す。会は現在、平田公民館で活動するが、参加は同地区住民に限らず、誰でも歓迎。仲間を増やし、贈呈活動も継続していきたい考えで、「一人ではできなくても、みんなでやればできることもある。興味のある方はぜひ」と呼びかける。

昨年1年間で、新入学児童への寄贈用に約250個を制作した

ものづくりの楽しさを味わえる活動。地域貢献もメンバーの生きがいにつながっている

平田出身の伊藤さんは会のメンバーとも顔なじみ。被災から立ち上がり、活動を続ける住民らの今を共に喜ぶ
発災1カ月後から現地で活動を続ける伊藤さんは、能登の現状について「これから災害公営住宅が建ち始めるところだが、被災家屋の撤去もまだ残っている。住民は独居の高齢者が多く、仮設住宅を出た後の生活に不安を抱えている」とし、継続的な支援の必要性を実感。住民の引きこもり防止も課題で、トラ作りの会の前身のようなコミュニティーにつながる活動が求められるという。
釜石と能登をつなぐトラキーホルダー。会のメンバーは子どもたちの喜ぶ姿を想像しながら、今後も楽しく活動を続けていく。

釜石新聞NewS
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