「3・11」あんどん 岐阜と釜石の有志が制作中 根浜防潮堤で明夜点灯“とうほくのこよみのよぶね”


2026/03/10
釜石新聞NewS #防災・安全

有志らによる「3・11」あんどんの制作作業=8日、根浜海岸レストハウス

有志らによる「3・11」あんどんの制作作業=8日、根浜海岸レストハウス

 
 東日本大震災発生からあす11日で15年―。沿岸被災地では犠牲者を追悼する準備が進む。津波で大きな被害を受けた釜石市鵜住居町では、「3・11」の数字をかたどったあんどんの制作が8日から始まっている。「とうほくのこよみのよぶね」として、2012年から同町根浜海岸で続けられてきた活動。これまでは漁船の上にあんどんを設置し海に浮かべてきたが、今年は海岸の防潮堤に設置する予定。11日夕方から点灯し、震災犠牲者への祈りの場とする。
 
 同活動は、国内外で活躍するアーティスト日比野克彦さんが中心となり企画。日比野さんの出身地岐阜県岐阜市で2006年から続けられる冬至の行事「こよみのよぶね」を、震災犠牲者の鎮魂、復興の一助に役立てようと始められた。制作には岐阜の実行委メンバーが全面協力。毎年、釜石に足を運び、地元住民や支援者らと制作から点灯まで協働で作業を行ってきた。昨年は諸事情により根浜での実施がかなわず、大槌町吉里吉里海岸に場所を移して開催。今年は根浜での復活に向けた足がかりにと、陸上点灯という形で再開することになった。
 
コロナ禍で参集活動が困難だった2022年に岐阜の実行委が制作し、釜石に運んだあんどん。今年もこの時とほぼ同規模になる見込み

コロナ禍で参集活動が困難だった2022年に岐阜の実行委が制作し、釜石に運んだあんどん。今年もこの時とほぼ同規模になる見込み

 
8日の制作作業には地元釜石から10人余りが参加。分担して各種作業に取り組んだ

8日の制作作業には地元釜石から10人余りが参加。分担して各種作業に取り組んだ

 
 8日から根浜海岸レストハウスで制作作業が進められていて、初日は地元住民ら10人余りが作業に協力。岐阜県の伝統工芸品「美濃和紙」に色を塗り、「3・11」をかたどる竹の骨組み作りを行った。数字型あんどんを並べた完成形は横幅約3~4メートル、高さ約1.5メートルほどになる見込み。
 
 市内の会社員新里拓也さん(32)は、12月から2月にかけて大町青葉通りと大町広場をイルミネーションで彩った、かまいし灯り実行委のメンバー4人で参加。初めての作業ながら「楽しい」と手を動かし、完成形にイメージを膨らませた。岐阜のメンバーが協力し、同活動が続いてきたことに「遠くから釜石に思いを寄せてくださりありがたい」と感謝。自身は震災時、盛岡市で高校生活を送っており、発災から1週間後、古里の惨状を目の当たりにした。あれから15年。復興の進展を改めて実感し、「震災前より明るいまちになってくれたら」と、同年代の仲間とまちづくりへの貢献に思いを強くする。
 
竹の骨組みに貼り付ける「美濃和紙」にさまざまな色を塗る

竹の骨組みに貼り付ける「美濃和紙」にさまざまな色を塗る

 
細く切った竹で数字の「11」をかたどる骨組みを作る

細く切った竹で数字の「11」をかたどる骨組みを作る

 
「・(中点)」は円形にした竹を組み合わせて作る。竹は強度としなやかさを保てる薄さに削って加工

「・(中点)」は円形にした竹を組み合わせて作る。竹は強度としなやかさを保てる薄さに削って加工

 
 今回、岐阜からは8人が制作に協力。根浜と吉里吉里の2班に分かれ、地元住民らと作業を進めている。根浜では再開にあたり、地元の一般社団法人根浜MIND(岩崎昭子代表理事)が活動協力。将来的な海上点灯復活を目指し、再スタートの一歩として、今年は防潮堤での実施を企画した。
 
 2020年から毎年足を運ぶ岐阜市の馬淵弥保さん(49)は「(根浜MINDの)岩崎さんはじめ地元の皆さんの気持ちに応えたいという思いが強い。できるだけお手伝いしたい」と釜石での人との出会い、つながりを大事にする。被災者が自身の経験を話してくれたこともあり、「(震災を)忘れてはいけない。経験していない子どもたちも増えてくる中、大人には後世に伝えていく責任がある」と実感。震災の記憶は消し去ることはできないが、こよみのよぶねが「少しでも(悲しみを抱える)気持ちに温かさをもたらし、海とともに生きる人たちの心の支えになれば」と願う。
 
岐阜メンバーの馬淵弥保さん(左から2人目)から竹の組み立て方を教わりながら作業する釜石の協力者

岐阜メンバーの馬淵弥保さん(左から2人目)から竹の組み立て方を教わりながら作業する釜石の協力者

 
 「3・11」のあんどんはあす11日、宝来館前の防潮堤に設置され、午後5時ごろに点灯される予定。

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