災害時の「ペット同行避難」 釜石市がルールづくりへ初の実証テスト 飼い主らと意見交換


2026/02/25
釜石新聞NewS #防災・安全

避難所担当の市職員の案内でペット指定場所に向かう飼い主と犬(ペット同行避難実証テスト)=甲子小、21日

避難所担当の市職員の案内でペット指定場所に向かう飼い主と犬(ペット同行避難実証テスト)=甲子小、21日

 
 釜石市は、災害発生時にペットを連れて避難する人たちの避難所対応について課題を探るため、21日、初の実証テストを行った。同市では現状、ペットと一緒に避難する場合の明確なルールがないため、避難者はペットと一緒に車中で過ごすケースが多かった。市は同テストや飼い主らの意見を基にガイドラインを作り、避難者の安全安心、受け入れ体制整備につなげたい考え。テストは市の拠点避難所の一つ、甲子小で行われ、犬7頭と犬・猫の飼い主、地元の動物愛護団体メンバー、同避難所担当の市職員など約30人が参加した。
 
 ペットを連れての避難には、飼い主とペットが避難所内の別々の場所で過ごす「同行」避難、同じ空間で過ごす「同伴」避難の2つの形態がある。市が第一段階として目指すのは「同行」避難のルールの確立。避難者の中にはアレルギーを持つ人や動物が苦手な人がいる可能性があるため、そうした人との直接的な接触を避け、避難できるようにするのが狙い。
 
避難者の居住スペースとなる体育館の前で「同行避難」について説明を受ける

避難者の居住スペースとなる体育館の前で「同行避難」について説明を受ける

 
校舎裏に設けたペット専用スペースに向かう

校舎裏に設けたペット専用スペースに向かう

 
 テストでは、避難所となる体育館の入り口で、飼い主に同行避難について説明。その後、ペットの指定場所とした校舎1階の屋根のある屋外スペースに案内し、持参したケージやクレートに犬を入れてもらった。飼い主は体育館に戻り、避難受付で狂犬病予防注射や病気の有無などペットの情報を専用用紙に記入した。同避難所では台風などの悪天候で屋外にペットがいるのが危険な場合は、隣接する教室に避難できるようにしているという。飼い主や担当職員らは一般避難者との動線の切り分け、複数の犬が集まった場合のペットの状態などを確認した。
 
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「こちらへどうぞ」 屋根がかかった屋外の専用スペースへ…

 
飼い主が持参したケージやクレートを指定場所に設置し、ペットを入れる

飼い主が持参したケージやクレートを指定場所に設置し、ペットを入れる

 
ペットの様子を飼い主や市職員らが観察。日頃からケージやクレートに慣れさせておくことが大事

ペットの様子を飼い主や市職員らが観察。日頃からケージやクレートに慣れさせておくことが大事

 
体育館の受付で連れてきたペットの情報を記入する

体育館の受付で連れてきたペットの情報を記入する

 
 避難行動の体験後、意見交換も行われた。飼い主からは「狂犬病予防注射の有無などペット情報をマイナンバーカードにひも付けできないか、マイクロチップの読み取りで情報共有できないか」「車避難が可能な災害は」などの質問のほか、「ペットと離れるのは不安。一緒に室内で過ごせる『同伴避難』をできるようにしてほしい」との要望が出された。
 
 同伴避難に関して市側は、「アレルギー反応の可能性を考えると、ペットを連れた人たちだけが集まれる場所(建物)が必要。場所の確保、避難所担当職員の振り分けなどを考えると、現状では難しい。まずは同行避難の受け入れを確立させ、その先の実現を目指したい」との考えを示した。愛護団体のメンバーからは「ペットと一緒にいられないなら避難しないという人もいる。ペットの命を守ることは人命を守ることにもつながる。柔軟に考え、スピード感を持って取り組んでほしい」との声も上がった。このほか、ルールづくりの遅さを指摘する声も。
 
飼い主との意見交換会。さまざまな意見、要望が出された

飼い主との意見交換会。さまざまな意見、要望が出された

 
市は実証テストで出た課題を今後のルールづくりに生かす

市は実証テストで出た課題を今後のルールづくりに生かす

 
 10歳の中型犬を飼う女性(68)は「年齢が上がってくると犬も人も行動が遅くなりがち。高齢の飼い主がケージや避難用品を運べるようなリヤカー的な備品があれば」と希望。「他の飼い主さんの話を聞いて気付くこともあった。ペット避難に関し、釜石は遅れている。具体性を持って進めてほしい」と話した。3歳の中型犬を飼う男性(53)は「人が留守にする時はケージに入っているので慣れてはいるが、頭数が増えればストレスがかかる。他の犬との距離が近すぎると体調を崩すことも考えられる」と心配。今回の実証テストを「まずは一歩」とし、「私たちは犬嫌いな人のことも考える。お互いに安心して避難できるような体制を取ってほしい」と願った。
 
 ペット同行避難の検討に取り組む市生活環境課の二本松史敏課長は「出された課題を解決しながら、まずは市職員が配置される市内18カ所の拠点避難所での同行避難の形を確立させたい。将来的な同伴避難も見据え、検討を重ねていく」と話した。

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