新緑にきらめく橋野鉄鉱山 汗爽やかウオーキング 釜石協会、仲間とふれあい楽しむ


2024/05/24
釜石新聞NewS #スポーツ #医療・健康

新緑に囲まれた橋野鉄鉱山でウオーキングを楽しむ参加者

新緑に囲まれた橋野鉄鉱山でウオーキングを楽しむ参加者

 
 世界遺産・橋野鉄鉱山がある釜石市橋野町の自然や歴史に触れながらウオーキングを楽しむ催しが18日にあり、市内外の40人が心地よい汗を流した。インフォメーションセンターを発着点に、高炉跡、普段は一般公開されていない「運搬路跡」をたどる往復約6キロのコース。新緑の木々や川のせせらぎ、動植物の息吹きなどを感じながら、「きれい」「いい季節だ」などと会話も弾ませた。
 
 地域の自然・風土、歴史・文化、仲間という3つの触れ合いを楽しみながら健康づくりに取り組んでいる釜石市ウオーキング協会(遠野健一会長、会員約50人)が主催。5月の例会行事だが、他地域の団体や一般参加も受け入れていて、今回は一関市や盛岡市、遠野市からの参加もあった。同協会員で釜石観光ガイドとしても活動する地元の小笠原明彦さん(67)が案内役を務めた。
 
 遠野会長(80)の「いつものように楽しく元気に足腰を鍛えよう」との掛け声を受け、準備体操をして出発。許可を得て立ち入りが制限されている区域に足を踏み入れた参加者は足取りも軽く、緩やかに続く上り坂を進んだ。道端の草花やそばを流れる川の眺め、木々の間から差し込む日の光、そよぐ風、鳥や虫といった生き物たちの気配…。さまざまな刺激を受け、「上も下も楽しむ要素がいっぱいでいいね」と明るい声が響いた。
 
絶好のウオーキング日和。参加者は元気よく歩き出す

絶好のウオーキング日和。参加者は元気よく歩き出す

 
普段は一般公開されていない場所を歩くため記録にパチリ

普段は一般公開されていない場所を歩くため記録にパチリ

 
動植物、自然との触れ合いに参加者は顔をほころばせた

動植物、自然との触れ合いに参加者は顔をほころばせた

 
 一般参加した金ヶ崎町の桝井紀子(としこ)さん(79)、大槌町の佐藤正子さん(80)は「青空と木漏れ日が最高。日陰もあるから快適だし、とにかく楽しい」と笑顔を重ねた。ヤマフジやクリンソウなどを見つけては立ち止まり、川のせせらぎに耳を傾けて涼しさを共有しながら、ゆっくり散策。「普段は歩けない場所に来れて、いい思い出になる」と満足げだった。
 
 今回は、二又沢橋を渡ったところで折り返し。この先、1キロほど進むと「鉄鉱石の採掘(露天掘り)跡」があるといい、小笠原さんが解説を加えた。帰りは、林道と並行するように残る運搬路跡を希望者がほんの少し歩いてみて、高炉が稼働した時代を想像。3基ある高炉跡では、それぞれの炉の特徴を聞いたりしながら鉄の歴史や人々の営みに思いをはせた。
 
折り返し地点に到着。参加者は元気いっぱいで余力を残す

折り返し地点に到着。参加者は元気いっぱいで余力を残す

 
林道より高い地点に残る運搬路跡。一部をたどってみた

林道より高い地点に残る運搬路跡。一部をたどってみた

 
山道を抜けて高炉跡の散策コースを歩く参加者

山道を抜けて高炉跡の散策コースを歩く参加者

 
三番高炉。ガイドの説明を聞いて鉄の歴史に触れた

三番高炉。ガイドの説明を聞いて鉄の歴史に触れた

 
 民話のまち遠野ウオーキング協会は16人で参加。人や牛が鉄鉱石を背負って運んでいた運搬路跡、高炉の石組みを見た千葉隆司さん(84)は「今でこそ機械があるから楽にできることも、当時は手作業。大したもんだ」とうなずいた。健康維持にと毎日歩いていて、「何も考えず、あちこちの景色を眺められる」のが続く理由。この日もスタスタと前に進み、元気いっぱいだった。
 
 釜石協会の遠野会長は「人生100年時代、運動が大事と言われている。手っ取り早いのは歩くこと。いつでも、どこでも、誰でもできる。個人でもいいが、団体ならではの楽しみもある」と強調。今回のように大人数で歩くことでクマなどの動物に存在を知らせて森林浴を楽しんだり、普段とは違った場所を歩けるのもメリットだという。気になるのは会員の減少。「若い人たちにも参加してほしい。3つの触れ合いを一緒に楽しみましょう」と望む。
 
おしゃべりに励まし合い…仲間と歩く楽しさを実感

おしゃべりに励まし合い…仲間と歩く楽しさを実感

 
橋野鉄鉱山の景色や自然を満喫した参加者たち

橋野鉄鉱山の景色や自然を満喫した参加者たち

 
 2024年度に同協会では24回のウオーキング行事を計画。釜石市内だけでなく、岩手県内各地の協会主催行事に参加したり、年1回の県外遠征も予定する。行事のほとんどは距離別に2コース用意されていて、健脚もゆっくりと散策を楽しみたい人もそれぞれ楽しめるよう配慮。協会に所属していなくても、開催当日に集合場所に行くと参加できる。参加料として300円が必要。問い合わせは釜石協会事務局(電話090-2279-1064)へ。
 
 6月にはJR盛岡駅が出発点の「壬生義士伝のまち・盛岡散策路」、山田町の鯨と海の科学館を出発点にした「船越半島 海辺散策ウオーク」を予定する。9月の「遠野物語・土淵のみち」は人気のコース。10月には15回目の「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」もある。
 詳しくは、「令和6年度釜石ウオーキング協会行事計画(エクセルファイル:45KB)」をチェック!

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