いわて世界遺産まつり 今年は釜石・橋野鉄鉱山で 本県が誇る3つの宝 現地から発信
いわて世界遺産まつりin橋野鉄鉱山=7日
国内最多タイ3つの世界遺産(平泉、橋野鉄鉱山、御所野遺跡)を有する岩手県。その価値や魅力を広く知ってもらう「いわて世界遺産まつり」が7、8の両日、釜石市橋野町の橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場で開かれた。県文化振興課が主催。3遺産にちなんだワークショップ(製作体験)、オープンスクール(講話)に加え、餅の振る舞い、高校生の民俗芸能公演などが行われ、県内外から訪れた人たちが楽しんだ。
同イベントは昨年の平泉での開催に続き2回目。現地への誘客、遺産がある地元の人たちが他遺産についても学ぶ機会にと企画され、今年は釜石が会場となった。7日は「一関祝い餅つき振舞い隊」5人による歌に合わせた餅つきで幕開け。来場者も参加してつきあげた餅は3種の味付けで振る舞われた。
「岩手まるごとおもてなし隊」が司会を務め、にぎやかに幕開け!
「一関祝い餅つき振舞い隊」の餅つき実演に来場者も飛び入り参加
初日の民俗芸能公演には県内2高校が出演した。大迫高(花巻市)学芸部神楽班の10人は国重要無形民俗文化財・早池峰神楽の一つ「大償(おおつぐない)神楽」、岩泉高(岩泉町)郷土芸能同好会の19人は「中野七頭舞」を披露した。釜石では初の演舞となった岩泉高生は、異なる道具を手に躍動感あふれる踊りを見せた。会長の坂下雄斗さん(2年)は「中野七頭舞をより多くの人に知ってもらうのが僕らの役目。貴重な場をいただきうれしい」と感謝。県内の世界遺産について、「身近にあるのは誇らしい。岩手の良さをあらためて感じる。行ったことがない遺産にも足を運んでみたい」と期待を膨らませた。
岩泉高郷土芸能同好会の「中野七頭舞」がまつりを盛り上げる
釜石初披露の岩泉高生らの演舞に観客は拍手喝采
会場内ではパネル展示で3遺産を紹介。ワークショップは3種のメニューが用意された。平泉は藤原泰衡の首桶から見つかった種が約800年の時を経て開花したことで知られる「中尊寺ハス」にちなみ、ハスの花のペーパークラフト、橋野鉄鉱山は鉄の歴史館(同市大平町)でも体験できる鋳造によるキーホルダー作り、御所野遺跡は自然の恵みで暮らした縄文人にちなみ、クルミの樹皮のストラップ作り。幅広い年代が挑戦し、完成品に笑顔を広げた。
3遺産を学ぶオープンスクールは初日に橋野鉄鉱山の講話が行われ、市世界遺産課の森一欽課長補佐が鉄産業の近代化の歴史について話した。同鉄鉱山高炉場跡を回って質問に答えると、景品がもらえるクイズラリーも実施。芸能公演に出演した高校生も参加し、楽しみながら遺跡への理解を深めた。
クルミの樹皮でストラップ作り。縄文人は木の皮を編んで籠を作っていたそう
釜石のワークショップは鋳造体験(左上)。橋野鉄鉱山スクール(右)の参加者には岩手の世界遺産グッズが当たるガチャのチャンスが…(左下)
大償神楽(早池峰神楽の一つ)を披露した大迫高生は橋野鉄鉱山クイズラリーにも挑戦(左上)
宮城県大崎市の佐藤栄喜さん(51)は今回で、岩手の3世界遺産訪問を全て遂げた。「見どころがいっぱいあっていいですね。現地ではそれぞれの歴史が感じられる。橋野や御所野は手付かずの自然もあり、良さがそのまま残っている」と実感。イベントを楽しみつつ、「一泊して明日またじっくり見ていこうかな」とほほ笑んだ。
釜石市中妻町の浅沼英樹さん(53)は、初めて見る岩泉高生の「中野七頭舞」に感激。「おいしいお餅をいただいたり、キーホルダーを作ったりして楽しめた」と秋の休日を満喫した。同鉄鉱山にはイベントや散歩で年に1~2回は足を運ぶというが、「完全な形で残る平泉の金色堂などと違い、ここは一目で価値を理解するのが難しい。他地域から観光客を呼び込むには分かりやすい解説、何か工夫したPRが必要。ここまで足を延ばしてもらうためには、他のイベントとのタイアップや周りとの連携も一案かも」と話した。
3遺産のPRキャラクターとの触れ合いも人気
記念撮影で笑顔を広げる大迫高生。楽しい思い出を心に刻む
釜石新聞NewS
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