平和への願い 未来につなぐ 艦砲被災から78年 釜石市、戦没者を追悼


2023/08/15
釜石新聞NewS #地域

「思いを引き継ぐ」。釜石市戦没者追悼・平和祈念式で心に刻む釜石市と青森市の中学生

「思いを引き継ぐ」。釜石市戦没者追悼・平和祈念式で心に刻む釜石市と青森市の中学生

  
 太平洋戦争で釜石市が受けた2度目の艦砲射撃から78年の9日、市戦没者追悼・平和祈念式が大町の市民ホールTETTOで行われた。遺族や関係者ら約120人が参列。過去の戦争で犠牲となった戦没者や戦災殉難者を慰霊するとともに、無残な戦争を繰り返さないよう平和への願いを心に刻んだ。
  
 黙とうをささげた後、式辞に立った野田武則市長は「戦争の悲惨さを決して忘れることなく、恒久平和の確立に向けて努力することが国内で唯一、2度にわたる艦砲射撃の攻撃を受けた歴史を持つ当市に課せられた使命。平和への願いを心に刻み、戦争の記憶を風化させず後世に語り継いでいく」と犠牲者に誓った。
  
 満州に出征した父正雄さん(当時33)、3人のおじを亡くした市遺族連合会の佐々木郁子会長(80)=平田・尾崎白浜=が遺族を代表し追悼のことば。「戦争は罪もない人々の命を絶ち、幸せを取り上げ、憎しみしか残さない。私たちも高齢となったが、後の世代に戦争の史実と命の大切さを伝えていくことが使命であり、生きたくても生きられなかった人々の思いを大切にしてほしいと訴えていく」と思いをかみしめた。
  
遺族を代表して追悼のことばを述べた釜石市遺族連合会の佐々木郁子会長

遺族を代表して追悼のことばを述べた釜石市遺族連合会の佐々木郁子会長

  
 平和・防災学習相互交流事業の一環で青森市と釜石市の中学1年生計19人も参列しており、青森の奥崎莉生さん(油川中)、三上飛真さん(東中)、福士小和さん(同)、釜石の白石恋菜さん(甲子中)が戦争体験者の話や震災伝承施設の見学などの活動、学びについて発表。「新しい仲間と平和や防災ついて語り合える貴重な機会。私たちはこれからもお互いに平和を引き継ぐ思いを大切にし、みんなが安心して平和に暮らせる未来を創造していきたい」と思いを共有した。
  
釜石と青森の中学生は平和への思いを発表した後に献花した

釜石と青森の中学生は平和への思いを発表した後に献花した

  
 市内の合唱グループ「翳(かげ)った太陽を歌う会」が、釜石艦砲の惨禍を伝える女声合唱組曲「翳った太陽」を5年ぶりに献唱。参列者は祭壇に白菊を手向け、戦争犠牲者の冥福を祈った。式典時間に来られなかった人たちのため、会場内の献花台が午後2時まで開放された。
  
戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える「翳った太陽」を献唱する会員

戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える「翳った太陽」を献唱する会員

  
参列者が献花。戦災犠牲者を悼み、平和を願った

参列者が献花。戦災犠牲者を悼み、平和を願った

  
 遺族や参列者が高齢化する中、平和への思いを未来につなぎ、取り組みを次世代に継承するため、本年度から式典の名称に「平和祈念」が加えられた。会場には釜石艦砲や太平洋戦争に関する資料、市戦跡マップを展示。ロシアによるウクライナ侵攻に関連して日本赤十字社による人道支援活動の紹介パネル、救援金の募金箱も設置した。
  
 こうした取り組みについて、野田市長は「若い世代も含め幅広く参加しやすく」と意義を強調。佐々木会長は「これを機に心安らかに暮らせる日々、命の大切さ、平和であることのありがたさを考える日なれば」と願った。
   
 終戦間近の1945年、釜石市は7月14日と8月9日に米英連合軍による艦砲射撃を受け、780人以上が犠牲になった。青森市は7月28日、米軍のB29爆撃機による空襲で、1000人超が犠牲になっている。
 
 

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