好きなことを自由に 写真と生け花が添う 大槌の村上民男さん、マサ子さん夫妻 釜石で二人展


2023/08/01
釜石新聞NewS #地域

釜石で二人展を開いた村上民男さん、マサ子さん夫妻

釜石で二人展を開いた村上民男さん、マサ子さん夫妻

  
 自由に好きなことを続けて50年。大槌町吉里々々(きりきり)のアマチュアカメラマン村上民男さん(75)と生け花の草月流1級師範マサ子さん(77)夫妻の二人展「華と写真」が7月21日~23日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。「持ちつ持たれつ」と尊重し合いつつ、それぞれの道で磨き上げてきた表現世界を紹介。来場者に心潤うひとときを届けた。
   
 二人展は東日本大震災後初めての開催で、通算5回目。夫婦ともに後期高齢者となり「きょうより若い日はない」と思い立ち、新型コロナウイルスの影響も落ち着いたことから「一つの節目に」と企画した。
   
生け花と写真。互いに支え合い、磨いてきた作品がずらりと並んだ

生け花と写真。互いに支え合い、磨いてきた作品がずらりと並んだ

   
 民男さんは県内外の風景や三陸鉄道、植物を捉えた20点ほどを並べた。遊び心を感じさせるタイトルも魅力で、釜石のオープンガーデンに咲き誇る4種のバラをまとめた作品は「私だけ見て」。古里・宮古市の臼木山に群生するカタクリの愛らしい姿を切り取った一枚には「初恋」と過ぎし日の思いを残した。
  
 本格的にカメラを手にしたのは結婚を機にした26歳の頃。元々昆虫好きで自然を追いかけているうちに写す楽しさに魅了された。働きながら、趣味として撮影を続け、地元の愛好グループで活動。震災後は自身が中心となって団体を立ち上げ、作品展を開いたりした。団体の合言葉は「自由に好きなように撮って楽しもう」。10年活動し団体は解散したが、その時のモットーは今なお変わらず、自身の生活スタイルそのものだ。
   
写真を通して出会った仲間たちと談笑する民男さん(中)

写真を通して出会った仲間たちと談笑する民男さん(中)
  
看板、作品タイトルの文字は絵やレタリングも学んだ民男さんが担当

看板、作品タイトルの文字は絵やレタリングも学んだ民男さんが担当

   
 展示会場でひときわ目に付いたのは、流木やナンテンなど実がなる植物、バラ柄の雨傘も添えた大作「流木と人」。22歳頃に生け花を始めたマサ子さんの集大成で、草月流の原点「花はいけたら、人になる」を体現した作品だ。
   
多くの人でにぎわった会場で存在感を放つ大作「流木と人」

多くの人でにぎわった会場で存在感を放つ大作「流木と人」

  
 マサ子さんは釜石・箱崎町出身。1960年のチリ地震津波で自宅が被災し、鵜住居町に移り住んだ。2011年、震災の津波は実家を襲い、母小川静子さん(当時91)、弟満さん(同62)を奪った。「だから、海が嫌い」。そんな妻を、海や山が好きな夫は「津波は津波、海は風景」と時折、誘い出す。大作の土台となる流木は箱崎町などで拾ったものを生かした。その流木に亡き人への思い、自身の生き方を重ねる。「長い間流されて丸くなり、おかに上がって拾われ、誰かのためになる。私たちも長い人生、さまざま経験して丸くなる」
  
大作を含め展示した約10点に込めた思いを明かすマサ子さん(右)

大作を含め展示した約10点に込めた思いを明かすマサ子さん(右)

  
東京から駆け付けた長女由香理さん(右)と記念にパチリ

東京から駆け付けた長女由香理さん(右)と記念にパチリ

  
 それぞれ自由に、のびやかに、豊かな感性を見せた二人展。3日間で400人超の目を楽しませた。「互いに好きなことをしている。持ちつ持たれつ、口を出さず応援」と民男さん。マサ子さんも「2人だったから、こんなに人生が彩り豊かなものに」と穏やかに笑う。会場のあちこちで作品を囲んで談笑する人たちの様子に、「人とのつながりを楽しめる場をつくれたかな」と満足げ。人や自然との出合いに支えられ、成長してきたと実感する2人は「趣味も人生も、体力が続く限り楽しむ」と笑顔を重ねた。

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