ファジョン合唱 母の日に届ける子守歌 釜石市内2カ所で披露 地元出身者が縁つなぐ


2023/05/22
釜石新聞NewS #地域

ファジョン合唱「母の日」ミニコンサート=甲子町「陽子の庭」、14日

ファジョン合唱「母の日」ミニコンサート=甲子町「陽子の庭」、14日

 
 東京を拠点にオンラインレッスンを行う「ファジョン合唱」(飯田夏代主宰)のメンバー5人が14日、釜石市内2カ所で「母の日」にちなんだミニコンサートを開いた。深い愛情で子どもを育ててきた母親への感謝と敬意、子育て真っ最中の母親へのねぎらいの気持ち…。さまざまな立場で抱く“母”を思う心を子守歌7曲に込め歌い上げた。地元出身で東京都在住のメンバー小笠原悦子さん(60)が縁をつなぎ、実現した。
 
 在日韓国人の音楽家ファジョンさんが制作する楽曲を歌う同合唱。釜石とのつながりのきっかけは、東日本大震災から10年となった2021年3月11日に魚河岸テラスで開いたオンライン合唱イベント。国内外から約150人が参加し、被災地の思いを共有したのが始まりで、以降毎年、趣旨に賛同するメンバー数人が震災命日の訪問、献歌を続けている。
 
 今回は、新たに制作された母のための子守歌を届けたいと「母の日」に合わせて訪問。大平町の釜石大観音、甲子町の私設フラワーガーデン「陽子の庭」の2カ所で歌声を披露した。飯田代表(44)、小笠原さんのほか、都内からは柳玉江さん(72)、新潟県から藤崎理子さん(57)、神奈川県から藤田富美子さん(48)が駆け付けた。
 
東京、神奈川、新潟から駆け付けた「ファジョン合唱」のメンバー

東京、神奈川、新潟から駆け付けた「ファジョン合唱」のメンバー

 
母親のための子守歌7曲を心を込めて歌い上げた

母親のための子守歌7曲を心を込めて歌い上げた

 
 午後に訪れた陽子の庭では地元住民らが集まる中、「誰よりも」「この手を」「星をみつめて」「証(あか)し」など7曲を披露。歌の合間にはメンバーが曲に込められた思いや自身の母に対する思いなども話し、母親が子どもに注ぐ愛の深さや家族の大切さなどを観客と共有した。
 
 地元で合唱活動を行う「甲子歌う会」の代表、坂本慶子さん(77)は「一般的な子守歌とはまた違う世界観。歌や言葉から心のきれいな方たちなんだなと感じた。現役で子育てをしている若い世代のお母さんたちにも聞かせたい。気持ちが洗われると思う」と話し、歌のプレゼントを喜んだ。
 
美しく穏やかな歌声に魅了され、拍手を送る釜石市民ら

美しく穏やかな歌声に魅了され、拍手を送る釜石市民ら

 
 「母の日」に思いを共有した合唱メンバーと観客

「母の日」に思いを共有した合唱メンバーと観客

 
 子どものころテレビでアフリカ難民の過酷な状況を目にしたことで、国際協力の仕事にも従事した経験を持つ飯田代表。人間は日々、さまざまな感情を抱えて生きているが、「歌うことで気持ちがリラックスしたり幸せを感じたりすると、自分の周りの人にも優しくできるようになる。その連鎖が世界の平和につながっていく。今日の歌で少しでも心が楽になれば…」と期待。自身の釜石訪問は4回目。「すべてを受け入れてくれる温かいハートを持った人たちに感激している。こういう場所があることをもっと発信していきたい」と話した。
 
新たな出会いを生んだコンサート。左下写真:中央が小笠原悦子さん、右が飯田夏代代表

新たな出会いを生んだコンサート。左下写真:中央が小笠原悦子さん、右が飯田夏代代表

 
 大槌町で生まれ、18歳まで釜石市で過ごした小笠原さん。「私は釜石の方々におがして(育てて)もらった。その恩返しがしたい」。古里への強い思いを胸に、今回の訪問も仲間と実現させた。「子育てで苦労しているお母さんたちが、私たちの歌で少しでも元気になり、家庭円満にもつながっていけば。人間愛を感じながら、誰もが自分らしく生きていけることを願う」と思いを込めた。メンバーらは大槌町でも歌を披露した。
 
大空と新緑に囲まれた空間で笑顔を輝かせながら歌を届けた

大空と新緑に囲まれた空間で笑顔を輝かせながら歌を届けた

 
背後の庭では間もなく複数種のバラが開花する。「来年はバラの咲くころに…」とメンバー

背後の庭では間もなく複数種のバラが開花する。「来年はバラの咲くころに…」とメンバー

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