「SL銀河ありがとう!」写真愛好家がラスト運行を作品展で応援 シープラザ釜石で6/11まで


2023/04/21
釜石新聞NewS #地域 #観光

 「SL銀河を応援する写真展」をPRする高橋弘喜さん(右)と佐々木恒人さん

「SL銀河を応援する写真展」をPRする高橋弘喜さん(右)と佐々木恒人さん

 
 東日本大震災からの復興を後押しし、被災地に夢と希望を届けてきたJR釜石線の観光列車「SL銀河」。今年6月での運行終了に惜しむ声が上がる中、県内外の鉄道写真愛好家らが同列車の魅力と感謝の気持ちを発信する写真展を発着地・釜石市で開いている。沿線住民、全国から足を運ぶ観光客、SLファン…。大勢の人たちに愛され続けた釜石線の象徴を“記憶”と“記録”として残そうと、ラストランの6月11日まで開催する。会場は釜石駅に隣接する観光物産施設「シープラザ釜石」。Webでのメッセージ投稿も呼び掛ける。
 
 写真展は有志による「SL銀河を写真で応援する会」が主催。釜石観光物産協会が共催する。応援する会の世話人、花巻市のフリーカメラマン高橋弘喜さん(62)が撮影を通して知り合ったアマチュア写真家9人に声をかけ、1人4点ずつ写真データを提供してもらった。会場にはA3サイズにプリントした40点を展示。撮影者が寄せたSL銀河への思いも文章で掲示する。
 
季節の風景との競演も人々を魅了するSL銀河の写真の数々 

季節の風景との競演も人々を魅了するSL銀河の写真の数々 

 
煙を吐きながら力強く進む光景はSLならでは。各種記念ヘッドマークも大切な思い出

煙を吐きながら力強く進む光景はSLならでは。各種記念ヘッドマークも大切な思い出

 
釜石駅近くの甲子川橋梁では三陸鉄道の列車とも共演。撮影者の腕が光る一枚

釜石駅近くの甲子川橋梁では三陸鉄道の列車とも共演。撮影者の腕が光る一枚

 
 写真を提供したのは県内在住者のほか、撮影のために東京、大阪、仙台から通い続けた愛好家。四季折々の自然と…。列車に手を振る沿線住民と…。それぞれの視点で切り取られたSL銀河の魅力が一枚一枚に凝縮され、見る人の心を揺さぶる。「SLそのものの迫力、季節の花など周辺景色を絡めたもの、高所からの絶景。いろいろなアプローチの仕方があり、そこが写真の面白いところ」と高橋さん。
 
 「SL銀河」は蒸気機関車C58-239号機が、宮沢賢治(岩手・花巻出身)の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフにした客車4両をけん引する。物語の世界観と風土のマッチング、交通の難所(急勾配、急カーブ)・仙人峠を力強く走る姿、沿線住民と乗客の触れ合い―。全国のSL撮影に出向く高橋さんも「乗客、乗務員と沿線の人たちがこんなに手を振り合う光景は他にはない。大漁旗での歓迎もここならでは。だから、みんな夢中になる」と、人々を引きつけてやまない要素に共感する。
 
撮影者のさまざまな視点がSL銀河をより魅力的に見せる

撮影者のさまざまな視点がSL銀河をより魅力的に見せる

 
沿線で手を振る人々の姿に多くの人が癒やされてきた

沿線で手を振る人々の姿に多くの人が癒やされてきた

 
 応援する会は昨年の大型連休期間中にも同じ作品で写真展を開催。今回は観光物産協会から「6月のラストランの日まで長期間で開催してほしい」との打診があり、アンコール展として開催することになった。「この10年、SL銀河が釜石線を走ってきた意味、この地域にもたらしたものを改めて感じてもらえたら。より多くの人に見てもらい、記憶に残してほしい―」。
 
 客車の老朽化で運行を終了するSL銀河―。だが、「何が起こるか分からないのも世の中。違う形でも、また釜石線を走るSLにお目にかかれたら…」と望みをつなぐ高橋さん。「今はだめでも将来、状況が変わっていけば可能性はゼロではないと思う。そのためにも(存続希望の)声は上げておかないと」と思いを込める。
 
SL銀河への感謝を込め、展示作業にいそしむ高橋さん=14日、シープラザ釜石

SL銀河への感謝を込め、展示作業にいそしむ高橋さん=14日、シープラザ釜石

 
展示は6月11日まで。多くの来場を呼び掛ける

展示は6月11日まで。多くの来場を呼び掛ける

 
 会場では、ポスターにあるQRコードをスマートフォンで読み取り、SL銀河へのメッセージを投稿してもらう企画も実施中。展示はシープラザ釜石のステージ前で開催。施設の入館時間は午前9時から午後7時まで。

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