2月10日開催 県消防職員意見発表会に釜石大槌消防本部から菊地龍星さんを選出
県消防職員意見発表会に釜石大槌地区消防本部代表で出場する菊地龍星さん(写真提供:同本部)
第46回岩手県消防職員意見発表会(県消防長会主催)が2月10日に盛岡市で開かれる。県内12消防本部から選出された職員が業務に対する提言や課題などを発表する。釜石大槌地区行政事務組合消防本部(大丸広美消防長)からは釜石消防署に勤務する菊地龍星さん(28)が出場することになった。
同発表会は若手消防職員が業務の諸課題解決へ意識を高め、一層の研さん、業務改善につなげるのが目的。毎年、各本部で選考会が行われ、代表者1人が出場する。釜石大槌地区消防本部では今年、釜石消防署勤務の職員2人が選考会(1月11日開催)に挑んだ。制限時間は5分。4人の審査員が内容(論旨の明確性・説得力、業務への問題意識・発展性)、発表力(態度、表現力)を採点した。
釜石大槌地区行政事務組合消防本部 意見発表選考会=11日(写真提供:同本部)
菊地龍星さんは「私だから言えること」と題して発表。同じ消防士の妻が出産を控えているという菊地さんは、増加傾向にある女性消防士の職場環境に着目。24時間の隔日勤務、緊急招集のある職業柄、仕事と育児の両立への不安が大きいとし、職場内への託児所の設置を提言した。人材不足とされる保育士確保の難しさも考慮し、解決策として、近隣の消防本部や県立病院との合同設置のアイデアも示した。地域住民とともに自分の家族の安心安全を守っていける消防士でありたいとの願いを込めた。
赤坂章也(ふみや)さん(26)は、消防業務を行う上での大前提となる「安全管理」について考えた。火災や自然災害に加え、山林などでの捜索・救助事案で消防団員と活動を共にする消防職員。団員の安全確保に費やすエネルギーは少なくないという。赤坂さんは双方の連携のとれた活動のために、捜索・救助の合同訓練を提言。訓練時には「安全管理隊」を配置し、活動隊員が行っている安全管理を評価シートで客観的に評価。見落としている危険の発見、管理の問題点把握につなげる必要性を訴えた。訓練により、団員の危険回避力向上も期待されるとした。
意見発表を行った菊地龍星さん(右)と赤坂章也さん(写真提供:同本部)
審査長を務めた市教委の髙橋勝教育長は、消防職における女性の活躍を見据えた環境整備の必要性、現場活動にあたる消防団員、職員の安全管理能力向上への取り組み―と、それぞれの着眼点を評価。代表に選ばれた菊地さんに「さらに磨きをかけ、県大会でも代表となることを期待したい」、赤坂さんには「発表した内容を実現できるよう努力してほしい」とエールを送った。
菊地さんは「出産後、職場復帰を望む女性が安心して働ける環境の整備は、消防職においても課題の一つ。女性消防職員だからこそ声を上げにくい内容もある。若い世代が直面する問題、女性職員の思いをしっかり代弁できれば」と来月の県発表会を見据える。大丸消防長は「自分が納得できる発表をし、成果が得られることを願う」と期待する。
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